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おままごとしよう

2015年6月18日 (木) 22:52

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「趣味は何ですか?」に対して「映画観賞と音楽鑑賞と読書です」、とか言うと、
結構な頻度で「一番好きな映画/バンド/本って何ですか?」と聞かれませんか。
暴力的なまでに難しいこの問いに対して、死ぬまでに正解を出すことができるのでしょうか。

例えば死ぬ前の日の晩、死神様が枕元に現れて、
「いよいよ明日は死ぬ日ですよ、さぁ地獄へ持っていくブルーレイとレコードと本を、それぞれひとつずつ選びなさい、全部ひとつずつですよ」とか言われたら、わたしはどうするのが正解か。
何も持っていかない、が正解かも。

でも仮に地獄へ行ってものすごーく暇だったなら、
何回観ても好きだと思える映画が手元にあった方が退屈しなくていいなと思うし、
誰かわからんけど地獄で友だちが出来るなら、この本はすごくいいよ、あげるから読んでみて、と言えるほうがわたしは楽しいし、
みんなにわたしの好きな音楽を聴いてもらったりして、一緒に歌ったり踊ったり、しっぽり呑んだりたいな、とも思う。
あ、それはもう地獄ではないのかも。

こないだも全く初対面の人(ネットをつなぎに来た営業の人)に部屋のCD棚を見られ
「音楽が好きなんですね!」「あ、アジカンが好きなんですね!」「ELLEGARDEN懐かしいです」「僕は最近はONE OK ROCKが好きなんですけど」と言われ
最終的には「一番好きなの何ですか?」という、事と次第によっては刑事裁判じゃないのか(?)という質問をいただいたのだった。
彼は自分の仕事を円滑に進め、さらにその場の雰囲気をなごやかにすることで、より値段の高い契約を、という明確な目的を持った上で話していたと思うし、それが仕事なのだから全く問題ないし、
何より「一番好きなの何ですか?」に深い意味やわたしへの興味関心は全くなくて、
「明日晴れますかね?」みたいなのと同じ意味の質問だということはよく分かる。

そもそも「一番好きなのは○○です」と即答&断定できる奴の部屋に
数百枚のCDがあるものだろうか。もっとスッキリしているはずじゃないのか。
あれもこれも好きで、最近は聞かなくなったけど思い出が邪魔をして捨てられなかったりする、その結果がこの部屋なんじゃなかろうか。

音楽が好きです!心臓がぎゅーっとなるからです!みたいな心とは
全く別軸の所有欲について、いつの日か自分で納得のいく正解を出して、
それを死神様に叩き付けてから、わたしは死にたい。

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