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つながるたわし

塩田千春さんの「つながる私」展に行った。塩田千春さんは、東京に住む友人が「よかったら一緒に行こう」と声をかけてくれなかったらノーマークだったアーティストだ。圧倒的なインスタレーション作品は、目も身体も幸せだった。

ミュージアムショップで買ったイチゴのアクリルたわしは、作品展の名前にちなんだ「つながるたわし」と名付けられており、塩田さんのお母さまと、その仲間で手作りしたものらしい。塩田さんの作品で使った毛糸を再利用しているという。

お母さまがご自身で「作ります」とおっしゃったのか、美術館側が「グッズに何か提供していただけませんか」と交渉したのか、経緯はわからないが、イチゴのたわしはかわいい。よく見ると、ひとつひとつ毛糸の色が違ったり、サイズが微妙に違ったりしている。手作りの証だ。

お母さまが「娘の展覧会が大阪であるの、余り糸でイチゴのたわしを作るから、協力してくれる?」と、ご友人に声をかけるさまを思い浮かべると(そんなシーンがあったかどうかは知らんが)あたたかい気持ちになる。遠くベルリンで暮らし、ひとり自分自身と、それから作品と格闘する娘を、きっと誇らしく思っていらっしゃるだろう。一方で、心配もしているだろうな。ぜんぶ想像でしかないのに、胸が苦しい。

イチゴのたわしはかわいくて、結局たわしとしては使えず、キッチンにぶら下げている。

買った場所:大阪市北区 大阪中之島美術館

買った日:2024年10月