TANAKA NOZOMI

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Hello my alien

2022年4月3日 (日) 22:09

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友人と話していたら「前から聞こうと思っててんけどさ、良い?」と言うので、「どうぞ」と答えながらも、なんだろう、と少し身構えたら「ぶり大根作るときにさ、ネギの青いとこ入れるやろ?あれなに?」と聞かれ、気が抜けた。前置きと本文のバランスが全く噛み合わないが、彼女はよくこういう話し方をする。私はそのバランス感覚が妙に好きだ。

「鰤が、臭みが強いから、それを消すために入れるねん」「そうなんや、じゃあ、食べるために入れるんじゃないんや?」「そう、まぁべつに食べてもええけどな」「そうか、あんまりおいしくはないなって、思っててん、ネギの良さ、別に活かせてないなって」

彼女は「レシピ見ながら作るねんけどさ、書いてあるねんネギの青いところ、カッコで、あれば、って書いてあるねん、大体あるから、いつも入れてるねんけどな」とも言った。たしかに「ネギの青い部分(あれば)」って、よく書いてあるな。「これはだから、あれば入れたほうがおいしいけど、ネギの青いとこないわ〜ってスーパーにわざわざ買いに行くほどではないですよ、っていう意味やねん」と私が答えたら「そうなんや、なるほどな、聞きたかってん」と言っていた。

その後彼女は「え、待って、角煮のレシピに書いてあるネギの青い部分、もそれ?食べる用じゃなくて……?」と名探偵のような口調で言った。そう、そのとおり、名推理。

ネギの青い部分を入れるのは臭み消しのためだと、私はなぜ知っているのだろう。自分で調べた記憶はないし、母に教わったのかどうかも覚えていない。母は懇切丁寧に何かを教えるタイプの人間ではないし、どちらかというと「ほんで醤油、醤油はジャーーーッと、塩はパッパッ、くらいの量」みたいな性格だ。大さじ小さじ、計量カップの類はほとんど使わない。
私はネギの青い部分を入れる理由を知っているからこそ気に留めたことはなかったし、レシピの文字通りあれば入れ、なければ入れない。料理はこういう「みなさんご存じのとおり」という省略が多いのかもしれない。不親切だな、と思う反面、この類のことをいちいち全部書いてあるレシピを見ながら料理をすると、おそらく倍以上の時間がかかるだろう。

ネギの青い部分を入れる理由はもちろん調べればすぐに分かることではあるが、それを「今度聞こう」と持っていて、なにか別のことを話している最中に思い出し、私に「前から聞こうと思っててんけどさ、良い?」と切り出せることの純真さや美しさはなんだろう。まぶしいほどだ。

肉料理に風味付けだけでなくローリエを入れる理由やローリエとローレルは全く同じものだということ、魚料理の下処理に塩や酒を使うのも同様、ということを伝えたほうがいいのかな、と少し頭をよぎったが、彼女が「前から聞こうと思っててんけどさ、良い?」と言うのを何度でも聞きたいから、また今度にする。

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