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廃番

2026年4月28日 (火) 20:27

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諸々の事情により保険屋さんと話す機会があり、大人ごっこをしているみたいだなと思う。変な感じだ。37歳はまごうことなき「大人」だろうと思うのだが、「保険」の前に立つと私は「幼児」もしくは「赤子」ぐらいのスペックしかない。泣き出さないことを褒めてほしいぐらい。もしかして、赤ちゃんがむやみに泣くのって「分からないから」じゃないですか?空腹が、睡魔が、睡眠そのものが分からないから、泣いてるんじゃない?
昔からこういう制度・ルール・システム、みたいなものにヨワすぎる。用語もほとんどわからないので、外国語を聞いているような気持ちだ。携帯電話の料金プランが理解できず、姉と一緒でないと機種変更に行けなかったころから何一つ成長していない。家電量販店で「ようわからんけど、いっちゃんええやつちょうだい」と言っているおじさんの気持ちが分かる。私も「ようわからんけど、ええがいしといて」と言いたい。
当たり前のことかもしれないが、誰も「幼児」を馬鹿にしたりはせず、質問に答えてくれて、どんな書類が必要かを教えてくれた。いや、当たり前じゃないかも。普通にすごいかも。社会はこうやって、「人が勉強したこと」に助けられて回っているんだな、と主語のでかい事を思う。ありがたいな。タダ乗りしてごめんなさい。いや保険料を払ってるから別にタダ乗りってわけではないんかな。「私が勉強したこと」も誰かの役に立っているといいけど。

保険屋さんのコールセンターの女性は、丁寧だけれど甘すぎず冷たすぎない絶妙な声音で話した。私を気遣う言葉は忘れないが、まだ何も判断できない状況であるので寄り添いすぎはせず、なおかつ決して突き放してはいない温度感がある。なんという技術……と思いながら、私はさっき引き出しから見つけた証書に書いてある証券番号を伝えた。
だいたい突然電話しているのだからお互いにアドリブというか、準備ができるようなもんではないでしょう。私がかけた電話なので、私はある程度話すこと・聞きたいことをまとめてはいるものの、相手は私が何を言うかは一切知り得ないし、私がどんな状況下でどんな精神状態かなんて全く分からないわけでしょう。つまり、マニュアルがあったとしても、それは台本ではないわけじゃないですか。そのうえで、あのフォームを一切崩さない話し方よ。すごい。技術。
とりあえず窓口が間違っていなかったこと、まったく希望がないわけではなさそうな様子に少しホッとして「ありがとうございます、助かりました」と言うと、彼女は重すぎず、軽すぎもしないトーンで「とんでもないことでございます」と言った。「とんでもないことでございます」???き、きれいな言葉遣い……使ったことない気がする、っつーか今後も使えん、私の語彙には無いよ。

と、のんきに暮らしているが実際はまだ何も解決しておらず、壁紙がめくれた家に2か月近く住んでいる。誰にも故意・悪意がないので私は怒っていないが、悲しんではいる。一方、今回はたまたま被害を被った側だっただけで、私も人の上に住んでいる以上まったくの他人事ではないと思う。何かの予行演習かもしれないので、真面目にやっています。
我が家はこのままいくとすごく気に入っていて傷んでいるわけでもない大部分はきれいなままの壁紙を引っぺがし、貼ってから6年しか経っていないのに捨て、気に入っていなくはないが納得はしていない壁紙を新たに貼り、なおかつそれに金を払うことになるので、人生がまるごと嫌にならないように引き続き抗っていく。好きなこと・気分の良いこと・楽しいことに払う金は好きなので気持ちよく使いたいが、これは違う。
壁紙くらいで人生がまるごと嫌になる奴なんかおらんやろ、と思う人もいるでしょうが、私は壁紙くらいで人生がまるごと嫌になる奴です。はじめまして。怖がらなくて大丈夫ですよ。

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