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RIDE ON TIME

2022年8月17日 (水) 21:40

フジロックフェスティバル

2020年は中止、2021年は行かなかったので、2年ぶり、か。
無事に終わりました。

「いつものフジロック」とのことでしたが、やっぱりいつもどおりではないけどな……という感じもある。が、いつもどおりは「いつもどおり」と言うことからしか始められない気もする。「いつもの」と言っていくことからしか、「いつもの」を得ることは出来ないのだ。その上「いつもの」はいつだって少しずつ変化している。

去年もきっとそうだったんだろうと思うけど、場内はいろいろ感染対策がなされていた。運営側がすべきこと・できることは十分にやってくれたんじゃないかと思う。あとは参加する側が個人ですべきこと・考えること・実践することしかないし、こんなのはコロナ禍でなくたってフジロックはいつもそうなのだ。熱中症で倒れないように、突然の雨や夜の寒さに対応できるように、何が要るのか自分で考えて、自分で自分の体調管理をしっかりして、毎年トライ&エラーでやっていくしかない。というかそれを楽しむのがフジロックだとも思う。たくさん日に当たると思ったより体力を消耗すること、朝日が昇ったあとのテントで寝るのはかなり難しいこと(暑すぎる)、疲れていてもお風呂に入って身綺麗にした方が疲れが取れること、靴にはいくらお金をかけてもいいこと、などを学びながら、10数回のフジロックを終えてきた。今年得た学びは「スプレータイプの日焼け止めはSPFが高くても気休めにしかならない」ということ(学びが遅い)。めちゃくちゃ日焼けした。

今年は木曜の夜に仕事終わりで出発し、まずは飛行機で羽田へ、モノレールとJRで移動して東京から新幹線に乗り、越後湯沢に着いたのは23時過ぎ、シャトルバスに乗り込んで苗場に着くころには24時を回っていた。苗場めちゃくちゃ遠い。着いてから何か食べればいいか、と思っていたが東京駅で空腹に限界が来て、発車直前の新幹線から飛び降り、ホームのキオスクでじゃがりことゆでたまごを買って食べた。おにぎりとか買えよ。
棟梁(実姉)はテントの場所をお知らせしてくれないまま寝てしまっていた。無理もない、テントをたてているときは雨だったらしいし、疲れただろう。

空港では十徳ナイフをうっかり機内持ち込みの手荷物に入れてしまい(モバイルバッテリーのポーチに入れてしまってた、モバイルバッテリーは手荷物でしか持ち込めないのでバックパックから移動させたがこれがまずかった)なおかつ刃渡りが6センチ以上あるとのことで警察官も登場し、バタついた。ふーーー焦った。へんな汗かいた。
焦るあまり警察の方の「何に使用するものですか?」という質問に「あの、えっと、桃、桃を剥いたりします」と答えて露骨に怪訝な顔をされた。まぁ事実なんだが(毎年フィールドオブヘブンというステージのエリアにあるお店で桃が売っている、まるごと売られているので皮を剥いてかぶりつくのが定番だが手と口がベッタベタになるので、桃へのモチベーションが高い私は毎回十徳ナイフを持参している)普通に「キャンプに行くので草を刈ったり紐を切ったり、何かと便利なんです」とかを言えばよかった。果物ですらなく「桃」と限定しているのが不審さを際立てている。しかも今年はヘブンで桃を売っているいつものお店が出店していなかったので、桃は食べられずじまい……代わりに(代わりに?)トマトを食べたので、十徳ナイフはそこで活躍しました。

15年間で10回くらい行ったから、あらゆるもの(ああいうのギアって言うんかな、ちょっと恥ずかしくて言えんな)を軽量化していくムーブにそろそろ終わりが見え、今年はかなりパッキングがスムーズに出来た。テントの中で使うものはもう事足りているし、来年は特に買い足したり買い替えたりしなくて良さそう。と言いつつ靴を買い替えようかな~とうっすら考えてもいるので信用ならない。でも、こういうの考えたり調べたり買いに行って店員さんの話を聞いたり使ってみたりするのがすごく楽しい。私は車がちゃんと運転できたらソロキャンプ行くタイプの人間だと思う。
長靴は重くはないけどバックパックの中では嵩張るうえによほどの雨量にならないと履き替えに戻らないので、より雨に強い靴を導入して長靴を持って行かないようにしたい。「よほどの雨量」は2019年のことを言ってるけど、今年はほぼ雨降らなかったね。靴の候補はKEENです。

去年出演をキャンセルした折坂悠太さんが今年はグリーンステージに出ていて、冒頭のMCで「去年はキャンセルして、今年はグリーンに出ている、でも去年と今年の何が違うのか、と問われたら答えられない」と話していたのが印象的だった。私も去年はキャンセルして、今年は行ったからだ。私だって差は何かと問われたら答えられない。感染者数の増え方からすると、今年もキャンセルすべきだったかも。でも行くことにした。自分で行くと決めた。これでよかったんだろうか。今もまだモヤモヤする。これでよかった、などと思う日は来ないかもしれない。モヤモヤしないために、行くべきじゃなかったのかも。でも生きていれば大抵の時間はモヤモヤすることに費やしているぞ、私の意志とは関係なく。それに、じゃあ何がどうなれば行っていいと思えるんだ。うーん、確実なこと、確信をもって言えることが、手元に何もない。
折坂悠太さんは「この営みを、続けるしかないんだと思う」というようなところに、この話を着地させた。そうですよね、と思ったが、こんなフワフワした話に着地点なんかないよな、とも思う。だって今も「この営み」の真っただ中に私たちは居るのだ。正解だって今も、未だに、ずっと分からないままだ。家から一歩も出ず、誰にも会わず、常にマスクをつけて、手指を消毒液に浸していれば、それが正解なんだろうか。あまりにも極端だし、それは「この営み」からは最も遠い。
ひとつだけ確実なことがあるとすれば、彼の「針の穴」という曲が、いつかの私の苦しさや心許なさを大きな布でくるむようにして支えてくれた、ということだ。音楽はいつだって私を救いも殺しもしないが、ただ背を支え、肩に手を添えてくれる。
演奏はとてもよかった。

3日目の午後、突然降り始めた雨の中、シャトルバスに乗って帰った。まだ半日以上あるのに帰るのか、もったいないなぁ~でも月曜から5日間フル出勤やからなぁ~~~
駅で本屋さんに寄ったらどう考えても帰るまでに1冊しか読み切らないのに、文庫本を2冊買ってしまった。私は出先で本を買って荷物を増やす悪癖がある。
空港で食べた蕎麦がイマイチで悲しい。いつも通り三田製麺所でつけ麺を食べればよかった。私、蕎麦は角が立ったかっこいいやつが好きだ。いつも通り千疋屋でお土産の杏仁プリンを買い、いつも通りラウンジでオレンジジュースを飲んだ。
空港から家まではタクシーに乗るつもりだったけど、思ったより元気があるので普通にポートライナーに乗り、駅からは自転車を借りて帰った。左腕につけたままのリストバンドが、なんとなくさみしい。夏終わったなぁ。

帰りも家が遠い。

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