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2025年5月19日 (月) 20:58

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寮生活への漠然とした憧れがある。この漠然の出どころを探ってみると、子どものころに図書館で読んでいた児童書によるものだと気づいた。

私は本が好きな子どもだった。父の影響だ。父は本が好きというより活字中毒のような感じ。単純に性分なのだと思う。
母は本を読まない。母が介護福祉士の資格を取ると言って勉強し始めたとき、本を読んでいることにびっくりした。今思えば母はあのとき、今の私と同じ歳くらいだ。子育てが少し落ち着いたタイミングで勉強し、資格を取って働こうと思ったのだろう。わが親ながらめちゃくちゃえらい。

子どもの頃は家族で本屋に行くと「ひとり1冊な、決まったら集合」と父が言い、各々が買う本を選ぶまで自由にさせてくれた。あの時間が好きだった。
私が選んだ本を父がジャッジすることはなかった。「その本はあかん」とか「こっちにしときなさい」みたいなことを、言われたことはない。好きな本は教えてくれたが、「これを読みなさい」と強要されたこともない。私が選んだ本について「なんでこれを選んだのか」などと理由を聞いてきたりもしなかった。父の一番好きなところかもしれない。
父は感想を求めたりもしなかったが、私が小学3年生のころ「リア王」を読んでいたら「シェークスピアかぁ…かっこええの読んでるやんか。お父さんリア王読んだことないわ。これはどういう話なん、王様はどうなるん」と言われ「狂う」と答えたことだけ覚えている。正直「狂う」という状態がどんなものかはっきりとは分かっていなかった。
……今も「狂う」がどういう状態を指すのかはあんまり分からない。え、だって自分が狂っていないことをどうやって説明できる??自分が狂ってないことを説明できないのに、狂ってる状態なんか説明できる?え???

大人になってからは、たまに「これおもしろかったわ」と父から文庫本を渡されたりする。私はそれを読んだり、読まなかったりする。読まない本は本棚に積んでいる。いずれ時期が来れば読むかもしれないし。
私も、出始めのころの森見登美彦を父に渡したりした(たぶん四畳半神話体系、いや太陽の塔かも)。父は「そんな変な名前の作家は読まん」などと不愛想な顔で大変失礼なことを言っていたが、後日「あれおもしろかったわ、こないだくれたやつ」と言っていた。読むんかい。

図書館は実家の団地から歩道橋を渡った先、文化センターの中にあった。鍵を忘れて家に入れないときや、家にいると邪魔なとき、友だちと遊ぶ気分じゃないときなど、しょっちゅう図書館にいた。母もよく「掃除機かけるから図書館行ってき」と言っていた。夏は冷房が効いているし、涼みがてら図書館へ、ということも多かった。
入って左側に、靴を脱いで上がるカーペット敷きの子ども向けコーナーがあった。紙芝居を読んでもらっている小さい子たちの横でゴロゴロ寝転がり、適当な本を読んで過ごした。漫画も置いてあって、そこで「ときめきトゥナイト」を読んだことを覚えている。漫画はどれも、巻数がぜんぶ揃っていないのか、誰かが借りているのか、いつも飛び飛びでしか読めなかった。

児童書の棚の左側においてあった(今思えばあれは)イギリスの作家の小説が好きで、何度も読んだ。シリーズで4~5冊あったと思う。全寮制の学校に通う双子の女の子の話だ。私の寮生活への憧れのルーツはこの本だと思う。「寄宿学校」という耳慣れない言葉の響きにドキドキした。親や先生に反発して、しょうもないいたずらをして、友だちが出来て、夜更かしして、おしゃべりして、という内容だった。イギリスは全寮制の学校が多いんだろうか。私立だとそうなの?ハリーポッターも寮生活をしてるもんな。
部屋でコソコソ開くパジャマパーティーのシーンが好きだった。知らない食べ物が多かったし、部屋でサンドイッチを作ったり、ソーセージを焼く描写があったと記憶している。私は生まれついての食いしんぼうなので、食べ物に関する描写には敏感。寮長みたいな先輩も出てきたような……あとお茶の時間があったよ。授業の終わりに。今なら「まぁイギリスならそうか」と思うけど、当時は「お茶の時間て何、学校でおやつの時間があるってこと?」と不思議だった。
ラクロス、という一切分からない競技もここで知った。いまだにラクロスはどういう競技かわからない。ラケットを持っている高校生はたまに見かけるけどね。あの長いやつ、ラクロスのラケットよね?ラケットで合ってる?なんか別の名前があるんやろうか。

現代の良いところはこのくらいの情報でもGoogleに投げれば、その本のタイトルをきちんと教えてくれるところだ。イーニッド・ブライトン作「おちゃめなふたご」シリーズらしい。ありがとうGoogle。ポプラ社から出ている。私が読んでいたのはペーパーバッグ版だそう。
もう一回読みたい。集めたいけどこういうの大体見つからんよな~でも電子版じゃ味気ないね。

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