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おともの猿
2025年10月28日 (火) 20:23
岡山に行ってきた。姉が引っ越したので、泊まる当てがあるのがありがたい。
駅前で自転車を借り、市内で行われているトリエンナーレ(岡山芸術交流)の展示物を見て回った。危ないかなと思って駅前の大通りを避けて路地を走るようにしたのに、車がぜんぜんウィンカーを出さないので路地もめちゃくちゃ危なかった。目を見て頷いてもらっても困る、ウィンカーを出してください。その頷きは何、行けってこと?来るなってこと?なに?何もわからないのでウィンカーを出してください。
岡山芸術交流の観覧は無料なので、現地へ行って、欲しければマップをもらい、ただ見て回ればOKという感じ。順路もない。
小学校跡地の会場で、そこのプールに展示されていた島袋道浩さんという方の作品が良かった。展示物としてはウミガメと鯉がプールに入っているのと、ハリセンボンと鯉が水槽に入っているののふたつあって、つまり海水の生き物と淡水の生き物が同じ水槽にいる、という作品なのだ。初見はギョッとしてしまうけど、この水は「好適環境水」というものらしい。水は岡山の大学が開発したものらしく、真水にカリウムやナトリウムなど、要は塩分を加えて作り、この水なら海水魚と淡水魚が一緒に暮らせるのだそうだ。本来は別の場所にいて、一緒に泳ぐはずのなかったウミガメと鯉は、お互いを警戒したり、攻撃しあって排除したりする様子もなく、前からそうだったみたいに悠然としていた。環境を変えるという譲歩で(この場合は水を変えるという譲歩で)生き物が共存することはできる、という意思を感じた。環境とか、構造とかが問題であって、個の問題ではないのに、個の問題として扱われている物事について考える。答えは出ないけど、そんなすぐに出ないのが答えであるとも思う。
ちなみに好適環境水だと海水魚は成長が早く、病気のリスクも少ないらしい。つまり、海水魚にとって海水は、別に居心地の良い水ではない、ということだ。不思議ですね。「水が合う」という言葉もあるよな、と思いながら、この日はたくさん歩いた。そういえば「水が合う」って肌感のことなのか、飲用のことなのか、どっちなんだろう。両方かな。
岡山は、というか瀬戸内は現代アートに力を入れていて(意図的だと思うけど、どういう経緯かは知らん、あとで調べときます)前から行きたかったラビットホールというギャラリーにも行くことが出来た。個性的で素敵なギャラリーだった。何かのビルをリノベーションしたのであろう建物のデザインも良い。
2階にある「Circle on the floor」という作品がおもしろかった。その名のとおり床に描かれた円が作品なのだけど、紐で囲われたり、「ここに作品があります」と示されたりはしていないのでガンガン踏まれており、円の一部が消えかかっていた。これは、作者が「床に円を描く方法」の指示書のみをギャラリーに納品しており、描いたのは本人ではない、という作品だ。私も去年知ったことだけど、作者本人が「何も描かない」という作品は、世界中にたくさんある。私は「何を描くか」、「誰が描くか」、「何で描くか」というような物質的なところばかり囚われてきたし、囚われているという自覚も、意識もなく生きてきたので、こういう作品を見ると天地がぐるんとひっくり返るような気持ちになり、清々しいような感じがする。
去年行って気に入っているオリエント美術館にも行った。県立美術館も行きたかったけど時間切れ、また次回にする。
バスで移動して、仕事終わりの姉と夕飯。とんでもなく馬鹿でかい声で話す4人組の女性客がいて、笑うしかなかった。あんなにでかい声の人、久しぶりに見たと思う。野球場のホーム・一塁・二塁・三塁に分かれて座っているのかと思うぐらいでかい声だった。酔っているからとかじゃなくて、デフォルトであの声量なんだと思う。4人が4人とも馬鹿でか声なのはどういう理由なんだ。声がでかい奴としか友だちにならないようにしているとか?
翌日は宇野から船に乗って直島へ。自転車に乗りたかったけど雨だったので断念。くやしい。
今年の春に開館した直島新美術館へ行ってきた。
パナパン・ヨドマニーという方のインスタレーションがとても良かった。写真に収めきれないほどの大きさで、コンクリートの瓦礫で出来ているのに、とても敬虔な気持ちになる、不思議な作品だった。なんというか、海で遭難して、流れ着いた島みたいな感じがする。
ソ・ドホさんの作品もたっぷり見ることが出来てうれしかった。仁川空港に飾ってある作品を見ていたのだけど「あれ?同じ人の作品じゃない?」とすぐ気づいた。ここで展示されていたのはソ・ドホさんがこれまでに住んだことのある家の一部や部屋を、金属のフレームと薄い半透明の布で作ったものなのだけど、観客が中を歩けるようになっていて楽しかった。照明のスイッチや壁のコンセントなんかも細かく作られていてかわいい。家ってすごく個人的なものなので、ソ・ドホさんが暮らした家のことを私は何も知らないし、そこで起きた出来事だって知らないのに、なぜか懐かしさや愛着まで感じる作品だった。家にまつわる出来事って、普遍的だもんな。引っ越しの日に空っぽになった部屋を見たときのボーっとした気持ちとか、新しい家のよそよそしさとか、そういうのも万国共通なのかもしれない。あと「この家で死ぬかどうかはまだ誰にも分からない」みたいな感じとかも、たぶんみんな共有している。
蔡國強さんの「ヘッド・オン」も素晴らしかった。写真なんかではよく見かけていた作品だけど、実物の圧倒的な情報量たるや……!99体の狼が壁に向かって体当たりしていく、というインスタレーションなのだけど、展示室をまるごと埋め尽くすサイズ感なので、鑑賞するというよりは作品の中に自分も入る、と言う方が感覚としては近い。狼たちが向かっていくガラスの壁は、ベルリンの壁と同じ高さなのだそうだ。狼は一匹もビビったり日和ったりしておらず、壁にぶち当たった後もなお、果敢に列に加わろうとしている。力強い作品だった。100体目の狼として私も加わりたい、一緒にやるよ、という気持ちになる。
インスタレーションに限らず、「大きさ」にしか持ち得ない力というのがあるな、と最近思う。大きいということに意味や価値がある。あ、小ささにも力があるな。えっと、だからサイズが作品に与える力ってすごいな、と思う。当たり前のことを言っていたらすみません。
すべての展示室で、姉は私よりもずっと熱心に作品を見ている。本当に端から端まで見ているし、時間もたくさんかける。目でスキャンしているのかもしれない。姉が見る時間を待つ時間も、私にとってはとても興味深く、おもしろくて良かった。姉は「待たせてごめん」とか「先に行ってていいで」とか言わないのも良い。そういう発想自体がないのだと思う。
このラーメン屋に行きたいねん、と姉に地図を見せていると14時閉店で夜は営業していない店だったので大急ぎで移動し、煮干し出汁のラーメンを食べた。この日は13時半に臨時閉店だったらしく、かなりギリギリだった。すごくおいしくて大満足。良いラーメンに出会うと嬉しいね。いろんな種類のラーメンがあるときは、券売機の左上にあるやつを選ぶことにしている。私がラーメン屋だったら、いちばん食べてほしいラーメンを左上にすると思うので。
ANDO MUSEUMにも行った。外観は木造の民家、という感じなのに、中に入るとコンクリート造で地下がある、おもしろい建築だった。大阪市中央公会堂の内部にたまご型のホールを作るというアイデアがあったことを知って、ワクワクした。実現しなかったみたいだけど。実現してたらどんなに良いだろう。
しかし、安藤忠雄建築を見ているといつも、これを思いつく人はもちろんすごいけど、これを作れる人たちだってめちゃくちゃすごい、と思う。
ラーメンとその前のカフェおやつでおなかがみちみちなのに、行きたかったおやつやさんでチャイとバナナケーキを買って食べた。ご近所に住んでいるらしきお姉さんが「ここのおやつおいしいんよ」と嬉しそうに言っていてかわいかった。近所においしいお店があるとなんか嬉しいよな、分かる。姉はスコーンとアイスコーヒー。姉は寒いのにアイスコーヒーばかり飲んでいる。16時の船で島を出た。次は豊島に行きたい。
岡山駅ではたっぷりおやつを買って帰った。岡山と言えばきびだんご。私はもちもちした食感の食べ物が大好きなので、当然きびだんごも大好き。廣榮堂さんの「むかし吉備団子」というのがおいしかった(賞味期限が短い)。
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