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all the things she said
2026年10月7日 (水) 20:22
しばらく専業主婦だった友人が働き始めた。「専業主婦」ってなんか、しっくりこないが、まぁいいか。新しい職場はハタから聞いているだけでもたっぷりの理不尽と構造上の問題があり、最近はわりと頻繁に愚痴と相談の電話がかかってくる。人の仕事の話を聞くのはおもしろいし、そもそもよその会社の話を聞くのはおもしろいと感じる。彼女は「私の仕事なんて大したもんじゃないのにさ」と言うが、私からすると到底できない仕事だなと感じる。仕事って、ぜんぶの仕事が、まじですごいよ。別に誇ったり驕ったりせんでいいすけど、みんな自分の仕事が私にとってはすごいと知っていてくださいね。
週末『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』を見に行った。ベトナム戦争の帰還兵の話だ。実話だったらしい。塚本晋也監督だし、しっかり構えて行ったはずだったのに、こわくて見てられないシーンも多く、当然のように落ち込んだ。とはいえ、見てよかったと思う。過去に起きたことを、経験したことを、話してくれる人がいるなら、こちらは耳を傾けないといけないと思う。もうほとんど「義務」だとすら感じる。私が怖かろうが辛かろうが、知ったこっちゃない。話す人がいるなら聞かないと。個人的なことであればなおのこと。
劇中、若いベトナム人が言ったことはネルソンさんだけじゃなくて私にも刺さって、抜けないままになった。私が、私たちが戦うべきものも、国の中にあるよ、確かにそうだ。外にはない。しかもこれは、外からくるものに向けるべき怒りではないよな。
映画館を出てエレベーターに乗ろうとしたら両親がいて、いま起きた人みたいな反応をしてしまった。映画を見たあとってめちゃくちゃフワフワしているので、たとえ相手が両親であっても、すぐには今世に戻れない感じがする。両親もこれから映画を見るらしい、何を見るのか聞くのを忘れた。
そういえばジョン・カーニーの新作の予告編がかかってたけど、なんか絶妙にダサい予告編だったので心配している。邦題も、ポスタービジュアルもダサい。大丈夫なのか。日本版がダサいだけなんだったらいいんですけど。たぶんそうよな。邦題はいつもダサいし。予告編もなんかやけに明度が高くてダサかった。本編もあんななのか?違うよな。
ちゃんと見るので安心してください、私は邦題がダサいくらいのことでジョン・カーニーの新作を見送ったりはしません。大丈夫です。(???)
ドラマ『Heated Rivalry』がかなり良かった。既にシーズン2の製作が決まっているらしくて助かる。めちゃくちゃヒットしているようで、前からタイトルだけなんか聞き馴染みがあったのだけど、ようやく日本でも見られるようになったらしい。アイスホッケー選手同士のふたりがお互いに惹かれ合い、約10年にわたって関係を深めていくという、まぁクィアロマンスものなのだけど、おもしろかった。全6話という超コンパクト設計なので、最近は韓国ドラマの全16話とかに甘やかされている私からすると「もっと見せてよ……」とはなる。そもそも約10年の時間経過を全6話(各回も50分くらいなので別に長くない)にギュッとしているので、ふたりの関係がギュッと動くシーンだけを見ているのだ。もっと見せてよ……とはいえ、カナダの製作会社がかなりの低予算で作ったらしく、いろんな事情と背景があるんだろうなとは思う。低予算感は特に感じませんでしたが……ってか私映像作品作ったことないから具体的に何やるとお金かかるんか知らんねんけど、どういう感じなんやろ。まぁ人間がまずお金かかるやろから「長時間撮影しない(拘束時間を減らす)」とかは思いつくけど……あとは何、ロケ地とか?こういうの公開情報として出てないんかな、あったら見たい。おもしろそう。「総製作費〇〇円」とかってよく見るのに、内訳って知らんよな。監督ギャラ:〇〇円、ごはん代:〇〇円、スタッフ宿泊費(カナダロケ)〇〇名:〇〇円、とか見てみたい。映画は俳優はあんまり儲からんと聞いたんですけど、ほんまですか?
『Heated Rivalry』はわりとハードめの性描写があるので、若干うろたえるし(無理やりしたりとかはない、むしろ結構ちゃんと同意を取る)、メインのふたりは別のホッケーチームに所属しておりライバル関係で、1年に2~3回くらいしか会えないので、編集もだいぶテンポが早い。10分で普通に2年くらい経過している。見てるほうとしては身体の関係にたどり着くまでも早すぎてちょっと面食らっているというのに「次に会うのは翌年」ぐらいのペースで進む。逆に言うと「視聴者側には見せられてない経過した時間」を埋めるだけの演技力が必要になると思うのだけど、ここがメインのふたりともすごくて、置いてけぼりにされずに済む。というか一緒にその空白の数か月を体感させられる。
なおかつ主人公のひとり、シェーンはアジア系カナダ人、もうひとりのイリヤはロシア人、という設定なので、セリフやストーリーを追っているうちにそれぞれの国の制度や同性愛の扱い、家族観、さらにはホッケー界・アスリートの現状なんかを調べずにはいられなくなる。それぞれのチームメイトや家族との関係性も描かれるので、「俺とお前」で世界が完結しない。そういう複雑さ、切実さがある。世界ってまじで「俺とお前」で完結せんよな~、フィクションやねんから完結してくれよと思ったりもするけど、誠実に作品をつくっていることの表れでもある。
3話には別のカップルが登場して、このエピソードのメインとしてストーリーが展開するのだけど、これもなんか……英断じゃない?と思った。だって全6回しかないのに、そのうちの1.25話くらいを別のカップルの話に充てるって、結構勇気の要る、カロリー高い決断な気がする。原作がそうなんか?なおかつ3話は5話→6話のためにもかなり重要なエピソードと思う。シェーンとイリヤとの対比も明確に伝えられるし。
6話は全6回の中で一番時間の流れが穏やかなので、必然的にゆったりしたテンポ感になるのだけど、ここまでのもどかしくて切ない部分、お互いの本心を開示し合うシーンが丁寧に積み重なるのが良い。画面も明るいし。確実に、意図的に明るい。
加えて私は「ごはんを食べること」に対して思い入れがあるので、本作で食べ物が印象的に取り扱われているのも興味深く、嬉しい。ジンジャーエールの件とか。イリヤがツナメルトを作ってくれるシーンもキュンとする。だってセフレにツナメルト作らんくない?……シェーンがイリヤをコテージに招いて「コーラ買ってあるよ、ここ水もおいしくて、井戸あるから、井戸見る?」とソワソワわたわたしているシーンもかわいかった。好きな男の家に招かれてようやく日の光の下でふたりっきりになったのに井戸見るわけない、めちゃくちゃかわいい。
個人的にはハッピーエンドとは言えない(というか、そんな雑にまとめられない)ラストシーンで、まだ何も始まっておらず、何かが解決したりもしていない結末も良かった。大団円ハッピーエンドフラワーシャワーになんかできない、だって現実はどうだい、と思ってしまうやん。NHLで現役中にカムアウトした選手はたったひとりだそうだ。「今年」とか「現役活躍中の選手において」とかじゃなくて、「これまでに」たったひとり。イリヤの故郷ロシアには「同性愛宣伝禁止法」という法律があり、つまり、ロシアで『Heated Rivalry』は見られない。2023年には性別適合手術を禁止する法案も可決されており、それまでに手術を受けて結婚した人の婚姻関係はその時点で法的に無効にしたらしい。ゾッとする。
私はこうやって、私を現実に連れ出してくれる創作物のことを、どんなことであっても、何かを知るきっかけをくれる作品のことを、ありがたいなと思う。
残念ながら社会とかって変わるのが遅いみたいだ。良いほうに変わっていくとも言い切れない。でも私が生きているうちにどうにもならないようなことにも、思いを馳せたり、当事者じゃなくても出来ることがないか考えたりすることには意味がある。意味がある、と思いたい。
ぽやぽやご都合ストーリー
2026年9月30日 (水) 19:27
RMさんのキュレーション展を見にSFMOMAに行くべきだったのでは、という件がまた脳内をチラついている。一旦考えるのをやめにしたはずだったのに、実際の情報を目にするとやっぱり行きたい。会期を調べたら10月3日にスタートして来年の2月7日までだから、別に「行けない」ということはない。なんならまだ始まってない。とはいえ今年はもうさすがに、さすがに旅行いき過ぎ、伊勢旅行も躊躇うほどなのにサンフランシスコて、うーーーんだから行くとしたら1月か、もしくは会期終了間際の2月か。サンフランシスコて。ってか年内は無理で1月ならいけるってそんなことある?なんのリセット方式?どういう理屈?………………一応航空券調べるか。調べるんかい。まぁ一応。一応ね。念のため。万が一。
映画『オデュッセイア』を見てきた。クリストファー・ノーラン作品を見るとき、人はみな「やれんのか、私」みたいなマインドになると思う。どれか一本見たことがあれば分かってもらえると思うけど、映画そのものが長いし、話そのものが難しいからだ。「やれんのか、私」は「トイレ大丈夫なんか、私」と「話理解できるんか、私」に大きく分けられる。
前日に家で『インターステラー』を見てこれを予防接種とし(?)翌日朝一の上映回を予約した。映画を予約するのは「起きたら雨やしやる気なくなったなぁ~小難しい映画見るの疲れるしもうええかぁ~」と自分に思わせないためである。私は「2000円払ったのに」という気持ちがちゃんと行動に作用するので、この方法が効く。
『インターステラー』は見たことがあるはずだが、filmarksに記録していなかったので勘違いかもしれない。SF映画の皮を被ったシンプルラブストーリーだったので、起きているコトの重大さとは裏腹にロマンチックな気持ちになった。「私は愛されていた」という事実だけで人は生きていけるのかもしれない、と思う。
私は基本的にあらすじも読まないし予告も見ない不真面目映画ウォッチャーなので『オデュッセイア』についてはギリシャ神話のやつでっしゃろ?程度のカス知識しか持ち合わせていなかったが、本当にギリシャ神話の古典映画だったので「話理解できるんか、私」のほうのマインドは必要なかった。時空がゆがんだり、5次元の世界に入ったり、相対性理論をwikipediaで何回も調べなくても話が分かる。そうか、そっちのクリストファー・ノーランか。なんか勝手に『インセプション』とか『テネット』とか『メメント』とかのクリストファー・ノーランやと思い込んでたわ。そっちね。『ダンケルク』とか『オッペンハイマー』とかのほうのクリストファー・ノーランね。『メメント』なんか私いまだに全然理解してへんからな。2回くらい見たと思うけど、まだ「なるほどつまり……どういうこと……?」ってなってるで、あれみんな理解できてんねんよな。賢いなみんな。
『オデュッセイア』はおもしろかったし、映像の美しさというか隙の無さで没入感もあり、今これを、古典を撮りたい気持ちも結構分かったので、172分は長くなかった。なおかつ「あ、そんなスターウォーズみたいな前置きを」「ちょっとそれ千と千尋みたいやな」「今なんかシンデレラみたいなことやってる」などと、多くは時系列が逆順の引用を感じる古典ならではの楽しさもあったように思う。すべての創作はギリシャ神話に通じている的な話あったけど、あながち間違いでもないのでは。
オデュッセウスが弓を鳴らすシーン、というか音がすごくかっこよかった(特に終盤のほうのアレ)ので、あれがなんのコードだったのかを知りたい。私はGかなと思ったんですが、絶対音感が無いので違う気もします。
帰宅してトロイア戦争の基礎知識がざっくり自分にある理由を考えてみたが、映画『トロイ』を見たからじゃないかと思い至った。中学生のとき以来に再生してみたら、単純明快にしたストーリー展開とキャラクター設計で出来た映画で分かりやすかった。「まんがで読むギリシャ神話」みたいな感じ。分かりやすすぎて、やや二次創作っぽさすら感じる。人間しか出てこんもんな。怒られたんちゃうんかこれ。でもこれ1回見といただけで20年後も基礎知識として残るて、なんか感慨深い。まぁこれを基礎知識と呼ぶには無理があるかもしれんが。
連休中は映画『さとこはいつも』も見た。沖田修一監督作品。日本でいちばん好きな監督だし、映画でもドラマでも必ず「沖田修一の味する」と思えるので、いつも新作を楽しみにしている。『さとこはいつも』もすごくよかった。誰でもひとつは物語が書ける、という土台のテーマもおもしろいし、創作の戸はいつでも開いているという希望の話でもあるし、何より人間がみんな可愛い。そうそう、人間て可愛い。
そういえば「創作の戸はいつでも開いている」と私も思うけど、自分で物語というものを作ったのは小学3年生のとき、夏休みの自由創作課題で絵本を描いたのが最初で最後だと思う。ひとりひとり発表の場みたいなのがあったので「先にお話しを考えて、それに合わせて絵を描いた。絵を入れると文字を削らないといけない部分があって難しかった」というようなことを言ったら、「家族の人に手伝ってもらうのはずるいことです」と先生に言われた。何のことを言われているのか分からなくて(今も分からない、ショックで間の記憶が飛んだのかも)黙っていたら「ずるいことをして、それを認めた人」みたいになって悲しかった。物語は動物の子どもたちが宝探しの冒険に出かけるが早々に迷子になり、自分たちの浅はかさを悔いていたら、自宅への直通滑り台が現れてめでたしめでたし、というぽやぽやご都合ストーリーだったと記憶している。
ニドラン♀
2026年9月9日 (水) 20:15
テンジャンを使い切ってしまったので、家にある味噌でテンジャンチゲを作ったら当たり前に全然違う味になっておもしろかった。例えば翻訳って、どの言語とどの言語を対にしたとしても、突き詰めていけば「出来ない」という結論になるんじゃないかと思うけど、料理もそうかもしれない。味噌はテンジャンの完全な代替にはなり得ず、逆もそうなんだろう。とはいえ両者とも塩分を控えめにしたり、出汁になるものを入れて手軽においしくなるようにしたり、似た方向性の変化を遂げた製品が作られていて、こうやって似たところを探すのって楽しいなと思う。
味噌は作ったことあるけど、テンジャンはどんな?と思い、試しに作り方を調べてみたら「それは日本では無理よ、住環境が違うもん」というレシピが出てきてますます楽しい。工程や経緯や由来は違うのに、結果が似ているものってたくさんあるだろうな。「似ている」はフックだが、それらをただ似ているものと勝手に処理して、いつのまにか「同じもの」として扱わないようにしたほうがいいことばかりなんじゃないか。なにせ翻訳は出来ないし。
バンコク行きの航空券を慌てて取った。私は無意識にソウル行きの便数を基準に生きているらしく「今はまだ4ヶ月前やし、もう少し日を空けてチェックしとけば、便数が増えるやろ」とのんきに過ごしていたのだけど、ふと「え、直行便がそもそもそんなに無いのでは???」と気づいた。こういう気づきって布団に入って寝付くまでのほんの数分とか、歯を磨いてるときとか、湯船につかっているときなんかに急に来る。急いで調べると、バンコクへ直行便を定期に出している航空会社はLCCもFSCも3社ずつくらいしかないようだ。ソウル行きの場合、LCCだけで8社はある。週末や繁忙期は臨時便だって出るし、チェジュ航空なんか朝は50分おきに1本ぐらいのペースで飛んでいる。しまった、こっちが例外だったのか。そりゃそうか。
しかも帰国便が夜中に出るやつしかない。まじか。え、15時くらいに出て当日の夜着く便とかはないの。なさそう。ないものはないので、こうなるととにかく早く取った方が安い。はず。セールとか待つべきか、と思ったけどそんな不確定なものを待っていて、売切れたらどうするねん。もう取ろう、往復5~7万円ぐらいで頼むで、と思っていたが6万ちょっとで決着とした。あぶねぇ。航空券を取ったあとは「二度と金額を調べなければ、絶対に一円も損しない」というルールで生きている。私が取ったのが最安値。
ともあれ、あとはもう行くだけだ。荷物を7kgに収めないといけないけど、普通に無理なんじゃないか。ひとまず今度韓国に行くときに量ってみて、無理そうなら潔く追加パックを買おう。7kgはたいぶ厳しめ。帰りに増える分は行ってみて何買うかによるので、今心配してもどうにもならない。靴・皿・書籍などの購入は控えたいが、絶対ほしい大皿とかを見つけてしまったら買うと思う。
にしても最近は何か調べているとnoteが引っかかって、読み進めていくと記事が有料、というケースが多い気がする。たぶんコメント欄とかに質問を書く人の相手をしたくないからとだと思うけど、そんな強気な値段で…?と思うような記事もたくさんある。売れるんだろうか。他人様が足とお金を使って知り得た情報を無料でもらえるとはもちろん思っていないけど、逆の立場だと「売るほどの情報か?間違ってるかもしれんのに?」と思ってしまう。まぁそれも含めて書く側が決められるようになったのだから、良いことなんだろうか。買ったことはないので、中にどんな素晴らしい情報が書かれているのかは知らない。
それにしても今年は本当に、ずーっと航空券を気にして生きている。ようやく今年乗る分の飛行機と宿泊場所の手配を終えた。すっきり。すごい金額になったが、合計してみるとそうでもないように見える。なんだこれは。どういうマジックだ。
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