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Run Seokjin Run
2025年7月16日 (水) 20:49
ジンくんのライブに行ってきた。私もうARMYやな、と自覚したのが2021年の6月だったようなので(ブログって自分がいつ何を考えてたか残ってて便利)4年越しに推しに会ったことになる。長かったな。いや短いのか。正直わからん。
ライブ数日前からずっと胃が痛くて、所在ない感じというか、足が浮いてるというか、妙な心境だった。緊張していたんだと思う。初めてスピッツのライブに行った16歳のときも、初めてWeezerのライブに行った19歳のときも、こんなことにはならなかったはずだ。歳とったせいなのか。
仕事が忙しかったこともあって食事量がガクッと減り、2キロぐらい痩せた(うれしい、でもこういうのってどうせすぐ戻るけど)。あ、恋煩いで痩せる人って、もしかしたらこういう感じなんだろうか。
ライブ後は友人と会えたので「一緒にごはんでも食べませんか?おなかすいてます?」と自分で言ったのだが、そう言う自分こそが「おなかすいてんだかすいてないんだかわからん」状態になっていておもしろかった。胸がいっぱいになると、おなかがすいてるかどうか自分でわからなくなる。よく考えたら朝家でパンをひとつ食べ、あとはボンタンアメを何個か食べたぐらいなので「おなかすいてるに決まってる」と思った。お店でだし巻きたまごを食べたら「あぁおなかすいてた」とようやく思い出した。お出汁の力はすごい。
VIP席が取れたとはいえ、アリーナなので当日まで明確な席がどこかは分からない。何回か「座席配置予想図」みたいなのをTwitterで見かけたけど、直視する勇気(?)が出ないまま当日を迎えてしまった。私の席は花道ステージの先端くらいの位置だった。近い。こわい。メインステージからの距離は、フジロックのグリーンステージからPA卓ぐらい。近い。近いよ。
よくアイドルの現場に行っている友人に「VIP席なら肉眼で見えるね、よかったね!」と言ってもらっていたのを思い出したが、肉眼で推しを見るとどうなるのかも聞いておけばよかった。推しって肉眼で直視して大丈夫なんだろうか。太陽だって直視してはいけないと習ったのに、推しはどうなんだ。こわい。私、今日溶けて消えるんかもしれん。
VIP席だと、特典として20~30分くらいの「サウンドチェック」と称したミニゲネプロみたいなのに参加できる。このときが私がジンくんを生で見た初めてのときなのだけど、残念ながらあんまり記憶がない。無理もない。酸欠っぽくなってたせいな気がする。3曲やってくれたことと「今日男性のお客さん多いね、彼女に連れてこられたの?笑……ちがう?僕のことが好きなの?」みたいなことを言っていたのと、あとものすごい神妙なトーンで「聞きたいことがあったんですけど、あの、みんなアミボムをずっと振ってて、腕は痛くならないんですか?」と聞かれたのを覚えている。あなたは3時間ひとりで歌って踊ってゲームコーナーを進行してステージの端から端まで走りまわってるというのに、しかも昨日もそれをやって今日またそれをやるというのに、我々の腕の心配を……?腕の……?と思ってポカーンとしてしまった。ジンくんはこういう「市井の人々の暮らしを学ぼうとするお姫さま」みたいな物言いをすることがある。自分の特権にいつも意識的で、人の話をよく聞こうとする。自分の足で城から出て、自分の目と耳で民の生活を見る、強くて賢いお姫さまみたいだと思う。
何より、全体的になんか「さっき起きました」みたいなしゃべり方でリラックスしていてかわいかった。あの「気を許してる人の前にいるみたいな態度」をやめてほしい、なんか危ういし、絶対に飼えない猫を手懐けた(と自分だけ思っていて猫にそんな気はさらさらない)ときみたいな気分になる。喉が詰まって息苦しいぐらいかわいい、と思っていたらサウンドチェックが終わった。脱力。
肉眼で見えるどころか、肌質まで見える。目がきらきらしているのも見える。ジンくんは目の水分量が多いのか、常に目がきらきらしている。アイドルが過ぎる。
サウンドチェックを終えたあと、これからライブを見るにあたって、私は自分が使える全ての器官から全力でジンくんを吸収するぞ、と決意した。人生で一回もしたことのない決意で自分でも戸惑うが、どうしても目が先行してしまうので……(あんなに見応えのある顔見たことないから……)席が近いと見るものが増えて忙しい。私は楽器や機材だって興味があるからぜひ見たいのに、本人を見るだけで忙しい。なにせ肉眼で肌質まで見える距離だし、ジンくんは顔面どうこう以前に骨格から美しい。姿勢が良いとかもあるけど、ゆがみがない、ストンと立っている。
ファンがジンくんを美術品にたとえたりするのをよく見かけるし、気持ちは分かるけど、実際に見ると美術品にはたとえられない、ということだけが分かってしまった。美術品には必ず作者がおり、作者の意図や意思をくみ取りたければ手がかりがどこかにあるものだけど、ジンくんはめちゃくちゃ生きている。ジンくんは今この時をめちゃくちゃ生きているので、絶えず変化し、その変化すらも美しい。生命の美しさって切り取れない。
ライブは本当にあっという間に終わってしまったけど、過去のソロ曲まで聴くことができて、ずっと幸せだった。ジンくんの声って鳴りが良くて、倍音がすごい。ピンと張りがあるけど厚みがあり、涼やかでクリアやのに艶っぽい。ちょっと歪みがかかったようなロングトーンなんかは、奥田民生とか草野マサムネとかの声に似たエレキギターっぽさを感じる。歳とるとまた味が出て、人生の滲んだ良い声になるだろうな。
本人のピアノ弾き語りでやった2曲は、うっとりするほど上手かった。推しの贔屓目があることを除いても、これまでの人生で観たピアノ弾き語りの中で一番良かった。弾き語りって技量で押し切ってドヤられると冷め、つたなすぎるとお遊戯会みたいで頼りないし、陶酔しすぎると客が置いてけぼりで、とにかくバランスの要る演奏方法よなぁと思う。こなれてるとかっこいいけど、ちょっとやそっとでその境地に行けるはずもない。音数が少ないので自信なさそうにされるとヒヤヒヤするし……
ジンくんの狙ってんだか天然なんだか分からない弾き語りは(実際のところ半々くらいなんだろうとも思うが)「一生懸命練習したから聞いてね」といういじらしさと、「俺はプロなんだからヘタなものを出すわけにはいかない」というプライドとが折り重なって、とても美しかった。ジンくんのしなやかで健康的なプライドを見ていると、そこが好きだなといつも思う。ピアノのタッチの強弱まで緻密で、センスが良かった。2か月練習した、と言ってたけど、かなり前に公開されたコンテンツでもピアノの練習をしているシーンがあったし、いつか弾きたいと思っていたのかもしれない。声質にもピアノがよく合うので、ぜひまたやってほしい。
蚕室でのライブプレイを見て以降、より解像度が上がり、よく歌詞を読んで、もっと好きになった曲がある。『Rope it』という曲で、馬の嘶きで始まる(なにそれ、と思うけどほんまやねん、ちなみに馬の嘶きで終わります)。ジャンルとしてはカントリーロックになるのかな、詳しくないけど。
Spotifyで聴いてるときは「ジンくんこんなんもできるんや~ライブでやるの楽しそうな曲やな~」程度に思っていたのだけど、実際ライブでパフォーマンスを見ると空気感の作り方がめちゃくちゃに上手くて、「あれ、こんなかっこいい曲やったか」となり、聞き込むようになり、そこでようやく真面目に歌詞を読んだ。人生哲学みたいな歌詞だった。
포기를 아는 건 사는 법 기본이야
선택을 하는 건 마음속 기분이다
という歌詞がある(韓国語ってリズムが良い)。
前半は「諦めを知るのは生き方の基本だ」という意味だ。
ジンくんは背伸びしない。できないことをできるようには見せないし、カマかけて博打を打たない。「足るを知る」と訳してもいいかもしれない。ジンくんが諦めたものって何か、聞いてみたい。「諦め」が持つ印象がネガティブ一辺倒ではないことなんて、長く生きてればみんな分かると思うけど、でも何を「諦め」たのかは人それぞれだと思う。あまりにも興味深い。
後半の歌詞は「選択をするのは心の中の気持ちだ」という意味だ。
確かにジンくんは心のままに選択をしている。旅行にいくバラエティ番組の中でも起き抜けのパジャマに寝ぐせ頭のままで冷蔵庫を開け、氷をつかむようなトングでマンゴーを食べ(絶対にフォークがあるのになぜそれで)、目についたサンドバッグを目についた野球用のバットで殴り、真昼間なのに目についた花火に火をつけていた。意味も理由もなく、ただその時にやりたいことをやっている。
現代特有なのか「みんな意味と理由にものすごく高い価値を置いているんだな」と感じることがある。例えば「伏線を回収できていない」という映画のレビューを見かけると「回収してないならそもそも伏線じゃないんじゃないんか、つーか映画のことパズルゲームやと思ってる?」と思う。つまり創作物には伏線という名の理由付けや根拠が張り巡らされていて、それに気づけるかどうか、という楽しみ方があるんだと思う。そういう楽しみ方をする人がいても別に構わないけど、私はなんか窮屈で好きじゃないし、つくる側からその観方が推奨されるようになったら嫌だ。人生は説明のつかないことがたくさん起こるし、フィクションにだって理由も意味も意図もないシーンがあって良いと思う。ジンくんはそういう、理由も意味も意図もない行動を自分に許すことを、意識的にやっているように見える。身に着けるもの一つすら過剰なほど考察される環境にいるのに、そうしている。
人生観を歌うなんて、下手すると説教くさくて聞いてられないと思うのだけど『Rope it』は軽やかで味わい深くて、良い曲だなと思う。
「목표는 몸이 맡아(目標は体が引き受ける)」とかも、かっこいい歌詞なんだよな。ジンくんが書いた歌詞どこか知りたいな。
せっかくアイドルを推しているのに、いわゆるあの「キャーーーー!」の感じが無い自分に、物足りなさや不完全さのようなものをずっと感じていたけど、そういう気持ちにも一旦区切りがついたように感じた。ジンくんは私なんかが想像できるより遥かに懐深い。ジンくんは「キャーーーー!」を受け入れられるし、ポーズとしての「キャーーーー!」だって受け入れられるし、彼女に連れてこられた人だって全然もちろんウェルカムだった。「今日ここに来てくれた人は僕の恩人です」とまで言ってくれた。なんかすごく「良いもの」になったみたいでこそばゆい。私たちはどのようなスタンスであれ、ジンくんに等しく扱ってもらえる。そのことがどれだけ難しいことか分かるので、ありがたいなと思うし、その信頼に応えたいなと思った。
帰りは友人とジンくんのライブだけでなく、バンタンは本当に最高だという話をたくさんして楽しかった。私は「好き」を自分の腹の中だけで延々煮続けられる性質だし、人と共有することや共感が最優先ではないのだけど、それでも人と共通の好きなことについて話をするのは当たり前に楽しい。
ナムジュンがひとりでアメリカ入りすることになり「みんなの仕事の都合で一緒に行けなくなってしまって……僕一人で先に行きます……不安です……」と迷子みたいな顔をしていたのに、翌日にはユンギ・ジミン・グクが出発していた話をしてめちゃくちゃ笑った。あんな不安な顔をしたナムジュンをたったの1日だけ早く出国させる理由なんやってん。しかもその1日の間にナムジュンはスマホを水没させている。ナムジュンは放っておくとあらゆる物を破壊し、パスポートやAirPodsを紛失し、そんな自分を「僕はまだ一人前になっていないんです」と憂うような人なのだ。かわいそうやけどかわいすぎる。
バンタンは今アメリカでソングキャンプ中らしい。来年の春にアルバムを出すから、みんなで曲作りをする、とのこと。何そのGrateful Deadみたいな……(ちょっとちがうか)最近は一人で楽曲制作をせず、複数人で集まって作る、というのはよく聞くし、ユンギもナムジュンもソロアルバムの制作でソングキャンプをしていたけど、バンタンがメンバー全員揃ってやるのは過去にないと思う。いずれは制作時の様子なんかも見られる日がくるかもしれない。こんな楽しみなことはない。テヒョンもいつのまにか合流したみたいだし(こないだまでパリにいた)、ホビもロラパルーザのヘッドライナー(大仕事~!)を終えて近いうちに合流するはず。ジンくんはまだワールドツアーの真っ最中でこれからアメリカ・ヨーロッパを周るけど合間で参加するらしく、ジンくんのツアー日程に合わせてキャンプそのものも移動するみたい。こんな楽しみな話があるかい。
ジンくんのライブが終わったら楽しみがなくなっちゃう、と思ったけどそんなことは全くなかった。そうだった、生きてると無限に楽しみがあるし、それを真っ当に享受するために私ができることは無限にあるのだった。
推しを肉眼で見ても私は溶けて消えることなどなく、これからも生活は続いていきます!タリョラー!ソクジーーーン!!!
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