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Umwelt
2025年9月25日 (木) 21:14
甥たちと一緒に『もののけ姫』を観ていた。怖くて観られないらしいのだ。言われてみれば、確かに『もののけ姫』は怖いかもしれない。6歳と5歳の甥たちからすれば、タタリ神もシシ神もめちゃくちゃ怖いだろう。血もめっちゃ出るしな……音楽というか、音も怖い。結構終盤になるまで、心地いい和音が出てこない感じがある。甥1は特にビビりなので、コダマも怖いらしい。
「でも強い子と一緒に観たら大丈夫や」とも言っていた。「強い子」は私のことだ。かわいい表現だね。
「もののけって何なん、どういう意味?」と言われ、答えに困る。「物の怪のこと」と頭に思い浮かべるが、これでは全く説明になっていない。物の怪ってなんて説明すればええんや。霊的なものではあると思うが、幽霊とは別物だろう。幽霊は物の怪の類か?
子どもといると言葉の意味をたくさん聞かれるが、これにきちんと答えるのはかなり難しい。めちゃくちゃ適当に言葉を扱っている証拠だと感じて、申し訳ない気持ちになる。逆に言えばこれだけ適当に扱っていても、別に生活に支障はないし、おしゃべりは楽しいのだ。たぶん言葉そのものより、どんな場面でどんな相手にどんな表情でどんな言い方をするか、という補助的な要素がたくさんあるからだと思う。本当に言葉だけが機能する場って、実はそんなに多くない気がする。つまり、言葉だけたくさん知っていたって、自分の気持ちを伝えることはできない、ということだ。
甥1は「こういうときは辞書をひくように」と教わっているらしく、隣の部屋から紙の辞書を持ってきた。字が読めると辞書をひける、という当たり前のことに感動する。あなたこないだ生まれたのに、もう辞書が引けるんか。大きくなったね。
彼が使っている辞書は私の母が使い、そのあと姉が使った、とんでもなく古い国語辞典だ。小口に名前が書いてある。50年前ぐらいの発行じゃないのか、と思ったが「もののけ」は載っていた。甥1は「たたりのこと、って書いとうわ、たたりってなんやろ」と言っている。私は「ほな、たたりも辞書で調べたら」と答えたが、たたりの語釈には「わざわい」とあり、甥は笑っていた。「わざわいもわからんで!」とのこと。辞書の森から出られなくなっている。
夕飯の席で彼は彼の父親から「もののけの意味分かった?辞書に載ってた?」と言われていたが「分からんねん、だってわざわいが分からんから」と言っていた。もののけを知るにはたたりも、わざわいも知る必要がある。
が、これは大人になってもあることなのだ。語彙力は増やせるが、満ちたりはしない。大人だって辞書の森に迷い込み、出られなくなることはある。歳だけ勝手に取り、今も無知のままだ。私は甥に「大人もそうなる、気にせんでええで」と言いながら、私も気にせんと知らん言葉調べよ、と思った。
私がいま調べないといけない言葉は「環世界」だ。世界はいつも知らないことばかり。
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