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家ひとつまみ

2017年8月17日 (木) 23:19

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所用で東京に行き、2時間半程度時間をつぶすべく、
東京国立近代美術館に行ってきたのだった。
企画展「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」を見てきました。
詳細どうぞ ⇒ http://www.momat.go.jp/am/exhibition/the-japanese-house/

建築物の展示って、当然「そのもの」を展示することは不可能なわけで
基本的には写真と図面と模型でどうにかするしかないので、全く専門知識ない人にとったら
何をどう楽しむものなのかが分からないで置いてきぼりになっちゃう、っていう
あまりよいイメージがなかった。
けど特に見たい絵画展もないしなぁー、みたいなテンションで行ったけど、
結果ものすごくおもしろかったので、おすすめしようと思って筆をとった次第です。
お気づきの通り、実際には筆はとっていませんが。

サブタイトルにもある通り、
全体の流れとして「1945年以降、日本の家はどのように変わってきたか」という
ストーリーが根底にある展示です。
1945年つったら、まぁ戦争が終わった年なので、
特に歴史や建築に詳しくなくても、「家」がどういう状況だったのかは想像できると思う。
もちろん場所にもよるやろけど、家なくなっちゃったって人が、少なくなかったでしょうね。
あとは戦前はほとんどみんな借家に住んでたのが、
戦後は政策なんかも相まって、土地買って家を建てる人、というのがかなり増えたのだそうです。
建築士が国家資格になったのもどうやら戦後になってからのことらしいので、
「家」ってものの捉え方も、戦前・戦後でずいぶん変わったんでしょう。
昔は近所の人たちで協力して毎年一軒ずつの屋根をふきかえた、なんて話も聞いたことあるし、
家は自分たちで建ててメンテナンスしていくもの、ってところから
資格を持った人に依頼して建てるものに変わったんじゃなかろうか。
(お察しの通り、wikipediaと想像で書いています)
そういう「家」が人の暮らしとかニーズに合わせて変化していく大きな流れを
みんなで見てみましょうね、という展示だったように思う。

建築家は、その多くが自邸をプロトタイプ的に建てていて(もちろん住んでもいる)、
なんというか「うっとり」した。
「ちょっと描いてみる」「試しに作ってみる」的なことがわりと簡単にできるのに対して
「ちょっと建ててみる」はかなりハードルが高い。かかる金額と工数よ。
なんというか「捧げた」感じにうっとりする。いいなぁ、自邸。かっこいいなぁ。

展示は想像通り写真と図面と模型がほとんどなんですけど(ひとつ実物大模型もありましたが)、
映像の類が全部おもしろくて、アニメーションとかもよくできてる上にみんなが分かるように説明されていて、
特に篠原一男が設計した個人宅(斜めにコンクリートの柱がドカンとある)に住む人に
「柱に頭をぶつけませんか?」みたいなことをインタビューするのがおもしろかった。
聞いていいのね、それ。(ぶつけた人はいないよ、とのことです)
家は設計する人だけで完結しないのがおもしろいよね。
藤森照信の「ニラハウス」(屋根の上にニラを植える、というものすごい設計)は
施工業者が見つからない上に、見積すら出してもらえなかったので、
結局友人・知人で建てた、という逸話もぶっとんでておもしろい。
でも昔はそうやって、友人・知人で建ててたんでしょうね、
みんな協力して「弟が結婚するから家建ててやりたい」みたいなことで、
「じゃあ雪とけたらはじめような」みたいなことで、建ててたんでしょうね。
それはそれで、楽しいだろう。

コンクリートの話が出てて、それもおもしろかったので、
建材の話も、もうちょっと欲しかったなぁ。
コンクリートをつるつるにしたのは安藤忠雄だったのだ。知らなかったよね。

ただ紹介されているほとんどの建築物が「現存せず」なのが悲しい。
もちろん老朽化して危ないとか、維持する人がいなくなったとか、原因は様々にあると思うけど、
なんとか古い建物を残す方法はないのだろうか。
日本は土地に根付く文化が多いわりにアメリカをお手本にした発展をチョイスしてしまって
スクラップアンドビルドが過ぎません?
まぁ「チョイス」したわけじゃないのはわかるけど、
今からでも方向転換できないのかな。
こんなに魅力ある建築家が大勢おるのに、もったいなくない?

あとアプリをダウンロードして無料で音声案内を聞けるサービスがあったので、
スマホとイヤフォンだけ持って回るのがおすすめ。
美術館の音声案内って、どのくらいの人が利用してるのか知らんけど、
私は結構おすすめというか、回ってて「何が何だかよう分からんな」と思ったら
入口まで戻って借りても良いと思うぐらい。
もちろん「何をどう捉えようが私の勝手にさせろ」と思う場合もあるので一概には言えんけど
「頑張って見てるけどとっかかりがない」場合、音声案内を利用すると圧倒的におもしろみが増すこともあります。
まぁ私は全ての荷物をロッカーにぶちこんでしまったので今回は音声案内を利用できませんでしたが。
美術館になぜか紙袋とかをたくさん持ってる人(買い物の帰りかな)結構いますけど、ロッカーを使いましょう。
美術館とIKEAはロッカーを使って手ぶらで回るのが絶対おすすめ。大抵無料ロッカーがあります。

「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」は10月29日まで開催しているようなので、
お近くの方はぜひ。
関西にも巡回してくれるといいよね。

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