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1986

2024年4月24日 (水) 21:58

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急に広島に行ってきた。これといった理由はないけど広島が好きで、これまでに5~6回行っている。出張とかで行ったのも含めたらもっと行ってる。
広島が好きな理由をいくつか挙げてみようと思う。

①街としての規模感がちょうどいい
なんとなく神戸にサイズ感が似ている。いや、面積で言えば広島市は神戸市の2倍近いが、買い物をしたりごはんを食べたりするエリアのサイズがかなり似ているように思う。神戸で生まれ育ったので、これぐらいの規模の街はとっかかりやすいと感じる。面積に対して人口は神戸より少ないので、道や駅が空いているのも良い。

②路面電車がある
乗り物で一番好きやと思う。路面電車があるだけでうらやましいし、広島の路面電車は観光用というより普通に市民が使っているのも良い。2両くらいの古い車両が車のあいだをゴトゴトしているのもかわいくて好き。

③むさしがある
思い出すと食べたくなる。お弁当でもいいし、イートインもいいし、とにかくむさしが好き。広島に行かないと買えないところも良いと思う。

3番目に挙げたけどむさしがあるのはかなりでかい。広島市内だけでなく、私は尾道にもかなりの回数行っているし、竹原や福山、鞆の浦にも行っているけど、でも市内以外ではむさしを買えないんです。あ、福山には最近出来たけど。
戦略なのかどうかは知らんが、もし戦略やとしたらすごい上手やと思う。だって梅田のデパ地下とかで普通に買えるとしても、多分買わんもんな……そういう食べ物ってあるやん。ほら崎陽軒とか。

何度も行っているわりに広島平和記念資料館には行ったことがなく、今回初めて行ってきた。先週「オッペンハイマー」を観たこともあって、今かな、と思って……かなり構えて行ったわりに、何度か休憩せんと進めんぐらい泣いてしまい、やっぱりしんどかった。
修学旅行生や外国人観光客でかなり混雑してたけど、ほとんど誰もしゃべらなかったし、みんな一生懸命展示物を読み込んでいたのが印象的ではあった。みんなこうやって、人の死や、人間がやった愚かなことに向き合えるのに、よその国の昔の話と片付けたりせず、資料館へ足を運ぼうと思う人がこんなにたくさんおるのに、今もまだ戦争がなくならないのはどういう理由なんや、と思うとつらい。

神戸でいつも使っているレンタル自転車が広島にもあるので、半分くらいはそれで移動した。広島市内はほとんど坂が無いので、自転車でどこまででも行けるけど、道がぜんぜんまっすぐじゃないので、すぐ迷子になる。川があるので、向こう側へ行きたければ橋を渡る必要があるのも難しい。どこに橋があるのか、現在地から近いのはどこか、が分からないので、行き過ぎては戻り、離れては戻りして移動した。自転車たのしい。

資料館以外にも3つの美術館に行ったけど、どこも神戸やったら考えられへんぐらい空いてて嬉しかった。空いてるとゆっくり見られるし、自分のペースだけで周れるから満足度が全然違うと思う。
最終日に観た企画展で「チューブ入りの絵の具が一般化したので画家たちは野外で制作が出来るようになった。作品のサイズが小さくなっているのはそういった理由から」という旨のキャプションを読み、ふふふ、と思った。言われてみれば当たり前やのに、でもチューブ入りの絵の具をお道具箱に詰めて、キャンバスを背負って出かける画家を想像するとかわいい。画家が道具を変え、道具が導いた作風があっただろうと思うと楽しい。
ざっと100年ぐらいを複数の画家の作品で繋いで見せてくれる展示が好きだな、と思う。人は人がつくるものに、多かれ少なかれ影響を受けるし、受けざるを得ないのがよく分かるし、それがおもしろい。

帰り際、駅で買い物をしていると、レジのところで割り込まれた。いや「割り込まれた」かどうかは微妙なところで、私は並んでいるようにもいないようにも見える中途半端なところに立っていたし、そもそもよそ見をしていたし、割り込んだとされる方は反対側から来たし、明確に並ぼうという意志を持ってそこに立ったし、だから「割り込まれた」かどうかは正直かなり微妙。少なくとも悪意は全くなかったので、私は「割り込まれた」と思っていなかった。どちらかというと「私たち、ほとんど同時にレジに着きましたね」ぐらいの気持ち。
お連れの方は娘さんだったようで「お母さん割り込まないで、ちゃんと並んでよ!」と結構な大声で怒り、その人は「あらぁごめんなさいね、並んでいらっしゃったのね、ごめんなさいね」と謝ってきたけど、私は別に急いでもないし、そもそも並んでたのかどうか自分でも自信がなく、さらにひとりやふたり先にレジを通ったって何という事もないので「いえ、お先にどうぞ、大丈夫です」と答えた。娘さんはまたも「ありがとうございます申し訳ありません、お母さんちゃんと謝って!」とまた結構な大声で怒っていた。そ、そんな怒らんでええやないの……と思ったけど、別に余計なことを言う必要もないので、私はまた「全然大丈夫です、お先にどうぞ」と言った。娘さんはなおも「お母さん順番ぬかししてるんだよ!恥ずかしい!」と声を荒げていらっしゃって、気まずかった。そ、そんなに怒らんでも……なんでや……
その方たちはレジを終えた後また私に向かって「すみませんでした」と頭を下げ、最終的にはレジの店員さんまで「すみませんでした、譲っていただいてありがとうございました」と言ってきて、さすがに過剰じゃないですか、と思い、むしろ私が申し訳なかった。
こういうとき、誰も嫌な気持ちにならずに場を収めるにはどうすればいいのか、と思って新幹線で考えたけど、最適解は見つからなかった。でもやっぱり、そんな謝られることでもないし、そんな怒ることでもないと思う。
たまにこういう「実母にものすごいキツくあたる娘」を街中で見ることがあるけど、いつもモヤモヤする。一見すると「母親がかわいそう」に見えるのだけど、一概に「母親に優しく出来ない娘が悪い」とは絶対に言えない「何か」をヒシヒシと感じる。

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