BLOG

2019年9月9日 (月) 21:42

uncategorized

今から10年くらい前、私がまだ東京に住んでいて、御茶ノ水の専門学校に通う学生だったころ、古本屋でアルバイトをしていた。卒業して少ししてから就職が決まるまでの1年ちょっとぐらい、今思えば短い間のことだったけど、あんなに素直に働いたこと、それまで(そのあとも、かもしれん)なかったなぁと思うほど、熱心に、一生懸命に働いていた。私だけじゃなく、みんなそうだったの。ただのバイト、というレベルではないぐらい、たくさんのことを学んだし、仕事のなんたるかを学んだし、働くのがおもしろいと気付いたし、あの時期ほんとうにずっと仕事のことを考えていた。私だけじゃなく、みんなそうだったと思う。
その頃のバイト仲間で、私が店を辞めてからも仲良くしてくれていた”あさこ”から「神戸に行くから会おう」と連絡が来て、バスターミナルまで迎えに行って、ごはんを食べて、すごく楽しかったので、そのことを書きます。会うのは実に5年ぶりのこと!

あさこは当時(たしか)文系の学部に通う大学生で、初めて会った日、長い髪をポニーテールにして、店の制服(黒いポロシャツにカフェエプロンみたいなやつ)がなんか妙に似合ってて、マスカラがかわいかった。懐かしいな。”あさこ”っていうクラシカルな名前も好き。
でも本当になんで仲良くなれたのか分からないぐらい、私との共通点が無い。同い年で同じバイト先、ぐらいしかまじで共通点が無いと思う。あさこに出会ってから「友だちは共通点を繋いでできるもの」という自論は、もう使えなくなってしまった。

あさこは私がデザフェスに出展するのに付き添ってくれたり(丸一日いて、店番まで手伝ってくれた)、荒井良二の展覧会に一緒にきてくれたり(「えー知らない、誰?わかんないけどまぁ行こっかな!」みたいな感じで)、なんかずっと仲良くしてくれた。よく上野の牛角に行ったなぁ。あさこが使ってた財布まで覚えてる。

一回一緒に映画を観に行って(イングロリアス・バスターズだったはず)、帰り道にあさこが「ねぇ、これおもしろいの?何の話だった?全然わかんなかったんだけど!」と言ってきたの、いまだに思い出しておもしろいな、と思う。なんであれチョイスしたんだっけな。でも私はタランティーノが好き(好きってほどでもないけど…割と好きなほう、程度か)なので、多分私が誘ったんだろうけど。

でもこういうの、友だちだから険悪になりたくなくておもしろくなかったって言えない、みたいになっちゃうケースが多いと思うんだよ。あさこはいつも「わかんなかった」「おもしろくなかった」「あんまり好きじゃない」とか、それがネガティブなことだとしても、思ったこと・感じたことをちゃんと言ってくれて、私は私で、それに傷ついたりムカついたり、そういうのがぜんっぜん無いんだよな。「もう誘うのやめよう」とか「趣味が合わないな」とか微塵も思わなかったし、「そっか、わかんないか!じゃあこれは?」とか「これはこういうところがおもしろいやつやから」とか言って説明して、変わらず仲良いまんまだった。
あさこがすごいのは、全然分かんなかったんだけど!寝そうだった~!とか言いながらもずっと楽しそうなとこなんだよな、あれどういうことなんだろうか。なんかずっと機嫌がいいんだよ。

あさこが何か否定的なことを言ったとしても、それは私自身を否定したり拒絶したりしてるんじゃないっていうのが、ちゃんと分かるから、だからずっと仲良いまんまいられたのかな、と思う。ディスコミュニケーション!みたいにならない。わりとそのへんを混同してしまってしんどい、みたいなこと起こりがちじゃない?ああいうのどうやったら身につけられるのかな、と思うけど、多分天性なんだろうな。ご両親はどういう人たちなんだろう、どんなふうに育てたら、あんな…なんつーか”風通しのいい子”になるんかな、いつか会ってみたい。

基本的には趣味が合って、一緒に同じものを観たり聴いたりして、「これいいよね」とか言い合えるのが「友だち」っていう認識で、いわゆる「価値観が一緒」ってことだと思うし、別に異論はないんだけど、こういう例外もあるんだよ、まぁレアケースなんかもしれんけど。友だちって定義は何なんだろうな。

家を買うことにしたから今度はホテルとんないで泊まりにきてよ、客用ふとん買うし、って言ったら、「なんで家なんか買うの?意味わかんない!あはは!要る!?」とか言ってあさこは笑ってて、私は不思議だけどやっぱり微塵も嫌な気持ちにならなくて、おもしろかった。そうそう、これこれ、あさこはこれだ。そう言うと思ったよ。良いなぁ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ARCHIVE