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Wide awake

2025年11月5日 (水) 20:57

旅行, 音楽のはなし

8月のアムステルダム公演が最後、となっていた弊推しことジンくんの、アンコール公演 #RUN SEOKJIN EP.TOUR ENCORE に行ってきた。本国での2公演が発表されたのは10月2日、公演日まで既に1ヶ月を切っている状態だった。私は怒涛のチケッティングによってどうにか手に入れたチケットを握りしめ(比喩)、どんな状況になってもいいように20リットルのバックパックにすべての荷物を詰め込んで渡韓した。
過去最高額の航空券だったのだが、着陸がものすごくソフトで、左右同時に着いた、という感じ。大袈裟でなく、降りたのか分からないぐらいだった。天候的な理由なのか、機長の腕なのかは分からないが、毎回これで降りてほしい、と思った。「高いだけあるなぁ」と思ったけど、冷静に考えると全く関係ない。

初日の公演にも会場入りしている友人を待ち、キョチョンチキンで乾杯。気の利く優しい店員さんが店内のモニターをBTSのMV祭りにしてくれて嬉しかった。キリがないので全然帰れない。しかし、閉店間際で疲れてるでしょうに、人の推しを思いやれるってすごくないか……ありがとうありがとう。

当日、友人が「明日は絶対にグッズを買う、出来る限り早く行って並ぶ」と前日に宣言したとおり、朝7時にホテルを出かけていった。1時まで飲んでたのに、タフすぎる。私は6時ごろには起きていたのに(緊張であまりよく寝られない、私は出演するわけでもないくせにめちゃくちゃ緊張している)、まだ迷っていた。グッズって、ほしいと言えばほしいけど、そこまで熱意があるかと問われると、私は結構薄いような気がする。
が、おつかいも頼まれていたし、二度寝もできそうにない。何かやることがあるわけでもないのだし、エイヤッと着替えて私も出発。2時間近く並んでグッズを購入。「私2時間も並んでTシャツ買ってる」と思うとジワジワ楽しい。やったことないこと、まだ全然いっぱいある。
2時間同じように並んでいたまわりの人たちは早々に訪れたロンT品切れに超絶ガッカリしており、かける言葉もないよ……という感じだった。仕方ないけど、でも悔しいよな。早起きして並んだのにな。「きっと通販がありますよ、後日」と言ったらみんな「そうかな」「たしかにそうよ」「通販してくれるよ」「きっとあるわ」みたいな感じになっててかわいかった。通販あってくれ頼む。

本人確認は事前に顔認証をしてあるので身分証も要らず、チケットの提示すら必要なかった。まじで「顔しか要らん」という状態。スタッフさんが紙製のリストバンドを巻いてくれる。信じられないほど丁寧にシール部分をくっつけてくださって(多分はみ出ないように)、びっくりした。そ、そんな恭しい感じでリストバンドを付けていただいたことないねんけど……さらに、本国コンの憧れアイテム、首からぶら下げるパスと、カイロもいただいた。カイロは屋外公演で寒いから、ということだと思うけど3つももらった。ロゴ入りの袋でかわいい。優しいプレゼントで良いね。

本人確認後はファンクラブ会員用のフォトカードがもらえるのでそれを受け取りに行く。こっちは身分証とファンクラブ会員証も提示する必要がある。こっちも顔にしてほしい。自分の顔を見せたらジンくんの顔の写真が入った紙がもらえる、っていうの良いと思うねんけど。あのシステムは結構お金かかるんやろうか。
フォトカードは最近無印のファイルを買って整理することに決めたので、もらえると嬉しい。私は整理整頓さえできれば物が増えるのは嫌ではないタイプっぽい。

現地でやるべきことがすべて完了したので一旦ホテルに帰って少しでも荷物を減らすことにした。移動時間はちょっと面倒だけども、これは友人の英断だったな、と思う。荷物って軽いに越したことないね。
ホテル戻りついでに何か食べよう、ということになったが、パンぐらいしか食べられそうな気がせず、ふたつ買ったのにいっこ食べるのも苦労するほどで参った。おなかは空いていると自覚があるのに、ぜんぜん食が進まない。なにせ緊張してるから……私は出演しないのによ……友人は「恋煩いだね」と言っていた。そうか、これが恋煩いなのか。これが噂の。胸がいっぱいでごはんが喉を通らない、てやつか。これが。
私のジンくんへの感情は「信仰」が近いと思っているのだけど、全世界のARMYの皆さんに聞いてみたい、推しへの感情に名前を付けるなら何ですか?私は「信仰」が最も近くて、でも「崇拝」ではないのがポイントかな、と思っている。ジンくんを見ていると、ただがんばろうと思えて、優しく善くありたいと思うし、顔を見るだけでなんでもできるような気持ちになるから……「お守り」みたいな感じというか。

友人はホテルでメッセージボードを作るというので別れ、私はサウンドチェック席なので、入場時間に合わせてまた競技場へ戻った。席は京セラのときほど良い席ではないけど、自分でこの席を買った、という思い入れのようなものがちゃんとあって、興味深い。座ってアミボム(ペンライト)に電池を入れたり、お水を飲んだりしてひと息ついたら、お隣の本国アミが無言でスッ…とシリアルバーをくれてかわいかった。しかもおいしそうなシリアルバーでうれしい。私こういうの好き、ザクザクしててドライフルーツとか入ってるやつ。私も早速用意してきたソンムルを渡した。本国のコンサート文化で、なんか個包装のおやつとか、自作のキーホルダーとかを周りの席の人にプレゼント(=ソンムル)するっていうのがある。kpopの文化でも指折りの「好きな文化」なので、参加できてめちゃくちゃうれしい。私はチロルチョコに自分で印刷した紙を巻いて「ソクジンチョコレート」にしたやつと、あとはマリオのグミとかピクミンの飴とかを詰め合わせたのを持って行った(推しの推しがマリオなので任天堂おやつにした)。いろんな国の言葉で「かわいい」を言ってもらえて感無量。かわいいよね、かわいいの作ったな〜と思っててん、自分で……うれしい、ありがとうありがとう。
右隣のアミは英語圏の方だったのだけど、なぜかずっと意思疎通ができて、おもしろかった。彼女はずっと英語で、私はずっと日本語で喋ったけど、お互いに一回も聞き直したりしなかった。
後ろの席や前の席のアミたちも、みんな雰囲気がよくて、連帯ってこれのことだな、と思った。言わなくてもみんなが何を考えているかわかる。私が考えていることも、みんなが分かってくれている。好きな人が同じ、というだけで仲良くなれるかどうかは別だ、と思って生きてきたけど、でもこの日まわりにいた10人ぐらいの人たちのことを、すごく好きだと思った。不思議なこともあるもんだ。

サウンドチェックに登場したジンくんは、初日サウンドチェックの革ジャンお兄さんオトナ味から一変、上下グレーのスウェットにロングのダウンでぽてぽてしており、ヒモ彼氏みたいで超絶かわいかった。資産家すぎてヒモなわけないのに(彼氏なわけもないが)。「寒くない?寒いよ、寒い」と言っていた。正直この時間は西日がすごくて待機中に半袖になる人もいるぐらい暑かったのだけど、ジンくんが寒いと言うなら寒いです。でもまぁ確かに日陰に入ったり日が暮れるとかなり寒い日だった。湿度のない寒さなので私は好きな気温だけど、ジンくんはそもそも寒がりなので……「みんなが寒いといけないのでカイロを配ってください」と言ったんだろうな、と想像する。自分がされたいことを人にするのが愛情表現のジンくん、良い。
3曲やって、最後は「このあと髪をセットするけど、アップにするのとおろすの、どっちが良い?」とアンケートを取ってくれた。「和食とイタリアンならどっちの気分?」と聞いてくれる彼氏みたいじゃないですか?(???)こういうときに「どっちも好き」とか言うのは野暮なので、私はアップ派で申し込みました。ジンくんのおでこと眉毛が好きなので……が、僅差でおろす派が多かった模様。いやどっちも好き。

サウンドチェック後は一度出ても良いことになっていたので、一旦退場。まわりのアミたちが「またあとでね~」といろんな言語で言ってくれてかわいかった。外のベンチでお昼に食べ残したドーナツを食べ、本を読み、通り雨に降られた。けっこうざばざば降ったので焦ったけど、屋根のあるベンチだったので助かった。
友人が到着したので合流。ホテルで作ってきたというかわいいメッセージボードに私も絵を描かせてもらってから、開演20分前に入場。さっきの雨で椅子がボタボタに濡れており、座るのを躊躇う。結構濡れてるやん、乾く間がなかったもんな、と思っていたら右隣のアミが「私そのまま座った!意外とイケるで!ゴーゴー!」みたいなことを言ってきて笑った。「イケへんてwww」と言いながらハンカチでざぶざぶ拭いた。ゴーゴー!やないねんww

公演は言わずもがな、最高だった。いろんな微調整と改善が見られ、アイデアが足され、パワーアップしていたと思う。ジンくんの言う「アミがしてほしいことが僕のしたいことです」は本当に嘘偽りない。リップサービスでも建前でもなく、本当に何を望まれているかをちゃんと聞いて、理解して、反映してくれていると思う。その上で「でもジンくんがほんとにやりたくないことはやらないだろう」と信じられるのもすごい。アイドルのプロ。
何よりひとりでツアーを回った経験を、ジンくんはちゃんと自分のものにしている、自信になってる、と感じられたのが嬉しかった。理想はいつでもそうだけど、やったらやっただけ自信になることなんて、実はそんなに多くない。「数」はそれなりに強いけど、所詮「数」でしかないときがあるから……だから経験数を自分の力にして持って帰れるのは当たり前じゃないと思う。

ジンくんは終始、なんか優しい顔をしていた。ジンくんてそもそもイケメンとかハンサムとかいう以前に顔が幸せというか、言語化が難しいけど、すごくやわらかい、幸せな顔をしている。顎とか全体的なフェイスライン、目尻はシュッとしているし、年齢や経歴を考えるともっと厳しい顔をしていてもおかしくないのに、意外に丸っこい印象の鼻先とか、ぽてっとした唇のせいか、ほっぺたがちゃんとあるせいか、ハッピーフェイスなのよな。それに加えてこの日は、ほんとに最終日だということや本国公演だという安心感なのか、クオズが来ているアットホーム感のせいか、ずっと優しい、寛いだ顔をしていたと思う。かわいかった。ま、いっつもかわいいんですけどね。

本国のアミは公演中ずっとスマホで動画を撮影するイメージがあったけど、そんなにステージに近い席ではなかったせいか、さほど多くなかった。それより歌ったり踊ったり名前を呼んだりリアクションをするのに忙しい、という感じ。撮影するのが悪いこととは思わないけど(だってファンが撮った映像ってめちゃくちゃおもしろいもん、公式には撮れない映像がいっぱいあるし、公演終わったあとにそれ見るの楽しいし)ただ私はみんなで一緒に歌ったり踊ったりするのが好きなので……久しぶりにこんなに大声で歌ったな、と思った。いっぱい跳んだし、気持ちよかった。
終盤、感極まって泣き出してしまった前の席のアミ(大分から来た、と言ってシールをくれた)をお隣のアミ(多分本国アミ)がなぐさめて、ぎゅっと肩を抱いていたのも印象的だった。双方の気持ちが痛いほどわかる。
私も『Awake』で冗談みたいに涙がぼろぼろ出た。泣くつもりはなかったのに。そうだった、感動すると涙って勝手に出るんだった。『Awake』で「多分僕は 空を飛ぶことはできない 多分僕は 空に触れることができない それでも手を伸ばしていたい  走ってみたい もう少し」と歌ったジンくんが、『오늘의 나에게(To Me, Today/今日の僕へ)』で「僕は飛ぶ 心導く所に 僕は飛ぶ 僕を飛ばす」と人生を進めているの、何回聞いても鮮やかに感動する。

これで本当に最後なんだな、と思っていたら『The Astronaut』で花道に寝転がったジンくんが花火を見ながら「あの顔」をしていて、超グッときてしまった。ジンくんがきれいなものを見ているときの、たぶん「この光景を覚えていたい」と思っているときの「あの顔」は本当に、なんともイノセントな表情で、見るたびに「今この瞬間をジンくんが幸せに記憶してほしい」と思うし、こういう時間がこれからも、何度も訪れるといいなと思う。そういえばジンくんが「あの顔」をしているときに自分が現場にいられたの、初めてだったかもしれない。嬉しい。

初日はホビとグクが、2日目はテテとジミンが来て一緒に歌ってくれて、バンタンのわちゃわちゃを見られたのも嬉しかった。テヒョンの声は本当に耳が心地いい。あったかくて大きい手を瞼の上にのせてもらってるときみたいな、ずっしりした気持ちよさ。声って温度があると思うけど、テヒョンの声は平熱より高い気がする。
ステージに上がる予定じゃなかった様子のすっぴん私服のジミンが一緒に歌ってくれたのも最高だった。ジミンはほんとに優しい子だね。嬉々としてジミンにお水をぶっかけるジンくんと、ただ笑って許すジミン、五臓六腑に染み渡るかわいさ……この光景が恋しかった、とガチ泣きするテヒョンの手をひいてステージに連れてくるジンくんと、おとなしく手をひかれてるテヒョンも、五臓六腑に染み渡るかわいさ…… ヒョン歌うからここで座って聞いていきな、と椅子を運んできてテヒョン用特等席を用意するジンくんも最高だった。ジンくんがこれまでやってきたことや、大事にしてきたこと、ジンくんがどうありたいかが、ぜんぶステージに乗ってるみたいな日だった。それを見に来たんだった、見られて良かった。来て良かったな。

公演後はまた友人と合流して、鴨肉を焼いたのを食べた。昼間に見つけてたお店で、私はデジカルビのお店だと思って入ったので(それは隣の店だった様子)「오리?오리ってなんや、あ、鴨か?」となったけど、すごくおいしくて結果オーライになった。鴨肉を石板の上で焼いてくれて、からしの効いたすこし酸味のあるタレにつけて食べるのだけど、めちゃくちゃおいしかった。お肉も柔らかいし、鴨って油がおいしいし、タレがまたおいしくて、あれまた食べたいな。付け合わせのニラとか、ムルキムチもおいしかったし、焼いたキムチもおいしかった。大満足。

翌日は晩の飛行機なので、弘大に行ったり梨泰院に行ったり、友人と遊んだ。時間ギリギリに入店できたカルグクスのお店が大当たりでおいしかったな。キムチもおいしかったし、スユクもすーごいおいしかった。前に聖水で食べたやつは貝出汁のカルグクスやったけど、ここのは牛骨出汁、まろやかで、しつこくない。お店の周りも雰囲気の良い、かわいい街で、今度このへんに泊まりたいなと思った。
友人は会うのは実質2回目というのに、ずっと昔から一緒にいたような親しみで、絶対また一緒に旅行したいなと思った。私が道案内をミスって全く逆方向に10分くらい歩いて電車にのる羽目になったときも、SMSが受け取れなくてロッカーを使うのに手間取ったときも、嫌な顔ひとつせずに付き合ってくれた。ありがとう、また会いたいです。

19時の便で帰国、23時ごろ家について、たっぷり寝た。やっぱり自分のベッドは最高。翌日は荷ほどきをして洗濯をして、アミがくれたおやつを食べたり(ぜんぶおいしい、台湾アミがくれたグミチョコが特においしかった、これ買いたい)、お土産を整理したり、のんびりした。
買ってきたホドゥカジャがおいしい。牛乳が切れてるので近所の牛乳屋さんに買いに行って、コーヒー牛乳と一緒に食べた。やっぱり私、駅で売ってるゴロッとした素朴なホドゥカジャが好きだな。次もっといっぱい買ってこよ。冷凍しとけば好きな時食べられるし。注文したのは5個だけど、気の良いおばちゃんが「おまけね」とぽいぽい袋に追加してくれて、8個入ってた。気前が良い。

配信でコンサートを見た人のレビューを読み漁っていると、公演の最後、ジンくんは「僕は悔いがないぞ!おしまい!」と言ったのだそうだ(聞き取れなかった)。こんな最高の宣言があるかよ、と思い、リビングで大の字。悔いがないって。嬉しい。私も悔いがないぞ!ありがとうジンくん、好きな人がこんなに幸せにしてくれて、私は幸せ者だな。
この先どんなことがあるかなんて、誰にも何も分からないけど「ずっと走り続けます!」と言ってくれたジンくんのことが好きだし、ジンくんを好きになってよかったです。

さて、どんなに推しの余韻に浸っていたくても、引き続き起きたら仕事して飯を食い洗濯して風呂入って、これからも私の生活は続いていきます!タリョラー!ソクジーーーン!!!

Run Seokjin Run

2025年7月16日 (水) 20:49

音楽のはなし

ジンくんのライブに行ってきた。私もうARMYやな、と自覚したのが2021年の6月だったようなので(ブログって自分がいつ何を考えてたか残ってて便利)4年越しに推しに会ったことになる。長かったな。いや短いのか。正直わからん。

ライブ数日前からずっと胃が痛くて、所在ない感じというか、足が浮いてるというか、妙な心境だった。緊張していたんだと思う。初めてスピッツのライブに行った16歳のときも、初めてWeezerのライブに行った19歳のときも、こんなことにはならなかったはずだ。歳とったせいなのか。
仕事が忙しかったこともあって食事量がガクッと減り、2キロぐらい痩せた(うれしい、でもこういうのってどうせすぐ戻るけど)。あ、恋煩いで痩せる人って、もしかしたらこういう感じなんだろうか。
ライブ後は友人と会えたので「一緒にごはんでも食べませんか?おなかすいてます?」と自分で言ったのだが、そう言う自分こそが「おなかすいてんだかすいてないんだかわからん」状態になっていておもしろかった。胸がいっぱいになると、おなかがすいてるかどうか自分でわからなくなる。よく考えたら朝家でパンをひとつ食べ、あとはボンタンアメを何個か食べたぐらいなので「おなかすいてるに決まってる」と思った。お店でだし巻きたまごを食べたら「あぁおなかすいてた」とようやく思い出した。お出汁の力はすごい。

VIP席が取れたとはいえ、アリーナなので当日まで明確な席がどこかは分からない。何回か「座席配置予想図」みたいなのをTwitterで見かけたけど、直視する勇気(?)が出ないまま当日を迎えてしまった。私の席は花道ステージの先端くらいの位置だった。近い。こわい。メインステージからの距離は、フジロックのグリーンステージからPA卓ぐらい。近い。近いよ。
よくアイドルの現場に行っている友人に「VIP席なら肉眼で見えるね、よかったね!」と言ってもらっていたのを思い出したが、肉眼で推しを見るとどうなるのかも聞いておけばよかった。推しって肉眼で直視して大丈夫なんだろうか。太陽だって直視してはいけないと習ったのに、推しはどうなんだ。こわい。私、今日溶けて消えるんかもしれん。

VIP席だと、特典として20~30分くらいの「サウンドチェック」と称したミニゲネプロみたいなのに参加できる。このときが私がジンくんを生で見た初めてのときなのだけど、残念ながらあんまり記憶がない。無理もない。酸欠っぽくなってたせいな気がする。3曲やってくれたことと「今日男性のお客さん多いね、彼女に連れてこられたの?笑……ちがう?僕のことが好きなの?」みたいなことを言っていたのと、あとものすごい神妙なトーンで「聞きたいことがあったんですけど、あの、みんなアミボムをずっと振ってて、腕は痛くならないんですか?」と聞かれたのを覚えている。あなたは3時間ひとりで歌って踊ってゲームコーナーを進行してステージの端から端まで走りまわってるというのに、しかも昨日もそれをやって今日またそれをやるというのに、我々の腕の心配を……?腕の……?と思ってポカーンとしてしまった。ジンくんはこういう「市井の人々の暮らしを学ぼうとするお姫さま」みたいな物言いをすることがある。自分の特権にいつも意識的で、人の話をよく聞こうとする。自分の足で城から出て、自分の目と耳で民の生活を見る、強くて賢いお姫さまみたいだと思う。
何より、全体的になんか「さっき起きました」みたいなしゃべり方でリラックスしていてかわいかった。あの「気を許してる人の前にいるみたいな態度」をやめてほしい、なんか危ういし、絶対に飼えない猫を手懐けた(と自分だけ思っていて猫にそんな気はさらさらない)ときみたいな気分になる。喉が詰まって息苦しいぐらいかわいい、と思っていたらサウンドチェックが終わった。脱力。
肉眼で見えるどころか、肌質まで見える。目がきらきらしているのも見える。ジンくんは目の水分量が多いのか、常に目がきらきらしている。アイドルが過ぎる。

サウンドチェックを終えたあと、これからライブを見るにあたって、私は自分が使える全ての器官から全力でジンくんを吸収するぞ、と決意した。人生で一回もしたことのない決意で自分でも戸惑うが、どうしても目が先行してしまうので……(あんなに見応えのある顔見たことないから……)席が近いと見るものが増えて忙しい。私は楽器や機材だって興味があるからぜひ見たいのに、本人を見るだけで忙しい。なにせ肉眼で肌質まで見える距離だし、ジンくんは顔面どうこう以前に骨格から美しい。姿勢が良いとかもあるけど、ゆがみがない、ストンと立っている。
ファンがジンくんを美術品にたとえたりするのをよく見かけるし、気持ちは分かるけど、実際に見ると美術品にはたとえられない、ということだけが分かってしまった。美術品には必ず作者がおり、作者の意図や意思をくみ取りたければ手がかりがどこかにあるものだけど、ジンくんはめちゃくちゃ生きている。ジンくんは今この時をめちゃくちゃ生きているので、絶えず変化し、その変化すらも美しい。生命の美しさって切り取れない。

ライブは本当にあっという間に終わってしまったけど、過去のソロ曲まで聴くことができて、ずっと幸せだった。ジンくんの声って鳴りが良くて、倍音がすごい。ピンと張りがあるけど厚みがあり、涼やかでクリアやのに艶っぽい。ちょっと歪みがかかったようなロングトーンなんかは、奥田民生とか草野マサムネとかの声に似たエレキギターっぽさを感じる。歳とるとまた味が出て、人生の滲んだ良い声になるだろうな。

本人のピアノ弾き語りでやった2曲は、うっとりするほど上手かった。推しの贔屓目があることを除いても、これまでの人生で観たピアノ弾き語りの中で一番良かった。弾き語りって技量で押し切ってドヤられると冷め、つたなすぎるとお遊戯会みたいで頼りないし、陶酔しすぎると客が置いてけぼりで、とにかくバランスの要る演奏方法よなぁと思う。こなれてるとかっこいいけど、ちょっとやそっとでその境地に行けるはずもない。音数が少ないので自信なさそうにされるとヒヤヒヤするし……
ジンくんの狙ってんだか天然なんだか分からない弾き語りは(実際のところ半々くらいなんだろうとも思うが)「一生懸命練習したから聞いてね」といういじらしさと、「俺はプロなんだからヘタなものを出すわけにはいかない」というプライドとが折り重なって、とても美しかった。ジンくんのしなやかで健康的なプライドを見ていると、そこが好きだなといつも思う。ピアノのタッチの強弱まで緻密で、センスが良かった。2か月練習した、と言ってたけど、かなり前に公開されたコンテンツでもピアノの練習をしているシーンがあったし、いつか弾きたいと思っていたのかもしれない。声質にもピアノがよく合うので、ぜひまたやってほしい。

蚕室でのライブプレイを見て以降、より解像度が上がり、よく歌詞を読んで、もっと好きになった曲がある。『Rope it』という曲で、馬の嘶きで始まる(なにそれ、と思うけどほんまやねん、ちなみに馬の嘶きで終わります)。ジャンルとしてはカントリーロックになるのかな、詳しくないけど。
Spotifyで聴いてるときは「ジンくんこんなんもできるんや~ライブでやるの楽しそうな曲やな~」程度に思っていたのだけど、実際ライブでパフォーマンスを見ると空気感の作り方がめちゃくちゃに上手くて、「あれ、こんなかっこいい曲やったか」となり、聞き込むようになり、そこでようやく真面目に歌詞を読んだ。人生哲学みたいな歌詞だった。
포기를 아는 건 사는 법 기본이야
선택을 하는 건 마음속 기분이다
という歌詞がある(韓国語ってリズムが良い)。
前半は「諦めを知るのは生き方の基本だ」という意味だ。
ジンくんは背伸びしない。できないことをできるようには見せないし、カマかけて博打を打たない。「足るを知る」と訳してもいいかもしれない。ジンくんが諦めたものって何か、聞いてみたい。「諦め」が持つ印象がネガティブ一辺倒ではないことなんて、長く生きてればみんな分かると思うけど、でも何を「諦め」たのかは人それぞれだと思う。あまりにも興味深い。
後半の歌詞は「選択をするのは心の中の気持ちだ」という意味だ。
確かにジンくんは心のままに選択をしている。旅行にいくバラエティ番組の中でも起き抜けのパジャマに寝ぐせ頭のままで冷蔵庫を開け、氷をつかむようなトングでマンゴーを食べ(絶対にフォークがあるのになぜそれで)、目についたサンドバッグを目についた野球用のバットで殴り、真昼間なのに目についた花火に火をつけていた。意味も理由もなく、ただその時にやりたいことをやっている。
現代特有なのか「みんな意味と理由にものすごく高い価値を置いているんだな」と感じることがある。例えば「伏線を回収できていない」という映画のレビューを見かけると「回収してないならそもそも伏線じゃないんじゃないんか、つーか映画のことパズルゲームやと思ってる?」と思う。つまり創作物には伏線という名の理由付けや根拠が張り巡らされていて、それに気づけるかどうか、という楽しみ方があるんだと思う。そういう楽しみ方をする人がいても別に構わないけど、私はなんか窮屈で好きじゃないし、つくる側からその観方が推奨されるようになったら嫌だ。人生は説明のつかないことがたくさん起こるし、フィクションにだって理由も意味も意図もないシーンがあって良いと思う。ジンくんはそういう、理由も意味も意図もない行動を自分に許すことを、意識的にやっているように見える。身に着けるもの一つすら過剰なほど考察される環境にいるのに、そうしている。
人生観を歌うなんて、下手すると説教くさくて聞いてられないと思うのだけど『Rope it』は軽やかで味わい深くて、良い曲だなと思う。
「목표는 몸이 맡아(目標は体が引き受ける)」とかも、かっこいい歌詞なんだよな。ジンくんが書いた歌詞どこか知りたいな。

せっかくアイドルを推しているのに、いわゆるあの「キャーーーー!」の感じが無い自分に、物足りなさや不完全さのようなものをずっと感じていたけど、そういう気持ちにも一旦区切りがついたように感じた。ジンくんは私なんかが想像できるより遥かに懐深い。ジンくんは「キャーーーー!」を受け入れられるし、ポーズとしての「キャーーーー!」だって受け入れられるし、彼女に連れてこられた人だって全然もちろんウェルカムだった。「今日ここに来てくれた人は僕の恩人です」とまで言ってくれた。なんかすごく「良いもの」になったみたいでこそばゆい。私たちはどのようなスタンスであれ、ジンくんに等しく扱ってもらえる。そのことがどれだけ難しいことか分かるので、ありがたいなと思うし、その信頼に応えたいなと思った。

帰りは友人とジンくんのライブだけでなく、バンタンは本当に最高だという話をたくさんして楽しかった。私は「好き」を自分の腹の中だけで延々煮続けられる性質だし、人と共有することや共感が最優先ではないのだけど、それでも人と共通の好きなことについて話をするのは当たり前に楽しい。
ナムジュンがひとりでアメリカ入りすることになり「みんなの仕事の都合で一緒に行けなくなってしまって……僕一人で先に行きます……不安です……」と迷子みたいな顔をしていたのに、翌日にはユンギ・ジミン・グクが出発していた話をしてめちゃくちゃ笑った。あんな不安な顔をしたナムジュンをたったの1日だけ早く出国させる理由なんやってん。しかもその1日の間にナムジュンはスマホを水没させている。ナムジュンは放っておくとあらゆる物を破壊し、パスポートやAirPodsを紛失し、そんな自分を「僕はまだ一人前になっていないんです」と憂うような人なのだ。かわいそうやけどかわいすぎる。

バンタンは今アメリカでソングキャンプ中らしい。来年の春にアルバムを出すから、みんなで曲作りをする、とのこと。何そのGrateful Deadみたいな……(ちょっとちがうか)最近は一人で楽曲制作をせず、複数人で集まって作る、というのはよく聞くし、ユンギもナムジュンもソロアルバムの制作でソングキャンプをしていたけど、バンタンがメンバー全員揃ってやるのは過去にないと思う。いずれは制作時の様子なんかも見られる日がくるかもしれない。こんな楽しみなことはない。テヒョンもいつのまにか合流したみたいだし(こないだまでパリにいた)、ホビもロラパルーザのヘッドライナー(大仕事~!)を終えて近いうちに合流するはず。ジンくんはまだワールドツアーの真っ最中でこれからアメリカ・ヨーロッパを周るけど合間で参加するらしく、ジンくんのツアー日程に合わせてキャンプそのものも移動するみたい。こんな楽しみな話があるかい。

ジンくんのライブが終わったら楽しみがなくなっちゃう、と思ったけどそんなことは全くなかった。そうだった、生きてると無限に楽しみがあるし、それを真っ当に享受するために私ができることは無限にあるのだった。
推しを肉眼で見ても私は溶けて消えることなどなく、これからも生活は続いていきます!タリョラー!ソクジーーーン!!!

look how they shine for

2023年11月16日 (木) 20:27

音楽のはなし

東京ドームでColdplayを観てきた。ライブを観るのは私の記憶が正しければ2011年のフジロック以来2度目だ。フロントマンのクリス・マーティンは「2025年にリリースする作品が最後になる予定」とインタビューで答えており、もしかしたら日本で公演をするのは最後かもしれない、と思ったし、友人が「のんが行くなら一緒に行く」と言ってくれたこともあって、チケットを買った。
でも、もう一回記事をちゃんと読んだら「そのあとはツアーだけをやる」みたいなことも言っているようなので、まぁ2025年以降も公演を観る機会はあるのかもしれん。それならそれでいいね。

ライブ前、友人と「自分の創作物(例えば小説や漫画や音楽)が店舗に並ぶのって、怖くないのかな」というような話をしていた。自分の作ったものを自分で売るところまではまだ感覚が掴めるし経験があるけど、例えば自分が書いた小説が印刷され、製本され、全国各地の書店に並び、誰かの手に渡っていくところを想像すると、確かに怖い。喜びももちろん想像できるけど、どちらかと言うと「途方もない」みたいな恐怖を感じる。
私は「だんだん“自分が作った”という感覚が薄れるというか、手元を離れていくんじゃない?」と答え、友人も概ね同意してくれた。

でもColdplayのステージを観ていると「必ずしも、そうじゃないかもしれない」と思ってしまった。古い曲も、新しい曲も、誰かとコラボした曲も、自分たちの手から放さずちゃんと握りしめているような、そういうライブだった。そういう曲だけを演奏する、と決めているのかもしれないし、どんなに年月が経って、作った日のことを忘れて、聴く人の解釈に委ねるようになっても、ずっと手を放すことなく握りしめておく方法を、知っているのかもしれない。
だって、客席からステージに上げたお客さんを隣に座らせ、キーボードを弾きながら『Fly On』を歌うクリス・マーティンを観ていたら「“今はもう手元に置いていない曲”なんだとしたら、そんなふうに歌えるものだろうか」と思ったのだ。

ライブ中盤には「世界に愛を送ろう」と言い、みんなでお祈りをする時間があった。祈ることに即効性が無いことなどとうに知っているけれど、祈ることからしかどんな物事も始まらないだろうが、とも思うので、5万人に向かって「戦争や虐殺や争いが終わるよう、みんなでお祈りをしよう」と大真面目に発信してくれる人が居るということと、それに同意し応える人が5万人居る、ということが素直に嬉しかった。こういう種類の希望を感じられることが、日常にはあまりにも少ないと思う。

入場時に配られたザイロバンドを腕につけて、演出の一部になれたことも嬉しかった。私は何かの一部にされることに対するネガティブな違和感を幼少期から捨てられずにいるし、だから学校も嫌いだったけど(ある程度ひとまとめにしないと対峙できない、というのは今では分かる、私だってそうしている)、Coldplayのこれに関しては嬉しかった。理由も理屈もわからないので自分でも不思議だ。東京ドームが黄色い照明だけで満たされる中で演奏された『Yellow』は美しかったし、同時に私の左腕も黄色く光っていて、遠い席の人たちからは演出の一部としてそれが見えていると思うと、私も何かの役に立っているんじゃないかと思えて嬉しい。
ザイロバンドは返却する仕組みになっているので、リサイクルされ、またどこかの国のどこかの公演で誰かの身体の一部になるのだろうと思うとそれも感慨深かった。
購入する仕組みになっていないのも良いなと思った。嵐のツアーごとにデザインが変わるペンライトは思い出になるから良いなと思うし、KPOPアイドルのペンライトはグループそれぞれオリジナルの形があってそれも楽しいし(ジンくんは自分たちのペンライトが早く欲しくて急かしたほど、と言っていた)、それぞれに良さを感じるけど、どちらも「チケット代を払ったのに、さらにペンライトも買う」点は変わらない。(他にも様々理由はあるだろうけど)金銭的に購入が難しい人が少なからずいることを想像するとつらい。演出に影響することを考えると出来れば買いたいと思うだろうし、周りの席の人がみんな持ってたら申し訳ない気持ちになったりするかもしれない。配布して回収するのは環境への配慮もあるだろうけど、それ以外にもポジティブな面があるなぁと思った。

結びとして書きたいことは特にない。私ひとりだったら行かなかったかもしれないので友人に感謝を込めて。いつもありがとうね。

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