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Young Forever

2021年10月25日 (月) 22:18

音楽のはなし

BTSのオンラインコンサートを見たので、その感想を書きたいと思ったがどうにも難しい。あらゆるものごとは多面的で、多層的で、どこをどう切り取ってどのように食べ、咀嚼し、何として出力するのかは、どこからも誰からも供されない、私が自分でやるのだ、いつだって、というようなことを考えた。人間が作り、人間が見ているのだ、私は本当に音楽が好きだな。

マッコリをほぼ全部ひとりで飲み干したのに頭が冴えていて、帰り道に駅前で借りた自転車に乗ってずっとグルグル考えていた。
持って生まれたもの、自分で捏ねたもの・積んだもの・捨てたもの・持ったままいるもの、人にもらったもの、まだ届かないもの、環境、トラウマ、思い出、欲しいかどうか、誰といるか、どこでやるか、みたいなことをずっとグルグル、断片的な思考がグルグル、引っ越してきてからよく自転車に乗るようになったなぁ、私がキム・ナムジュンです。タルンイは電動じゃないらしい、ソウルは坂がどれぐらいあるんだろう。神戸は坂ばっかだよ、おナム。

ジンくんMCで「音はずしたりしたわ…まじ自分で自分が憎い、ぴえん(※意訳)」みたいなこと言うてたけど、それよりもちょっと、なんかこう、何かを吹っ切ったような、腹が決まったような顔をしていて、よかったな。ジンくんよ、私は最近過去のライブ映像をわりと立て続けに4~5本見たんですけどね、あなたはステージに居るときに所在なげな顔をしていたり、様子をうかがうような顔をしていることが多い気がしていて、でも昨日はなんか、一旦脇に置いておくから、みたいな顔をしていたような気がする。気のせいだったらごめんだよ。でも最近の楽曲のおかげだったり、こないだのバンドとのコラボの影響だったり、もしかしたら本当に何かを吹っ切ったり、あと歳を重ねたせいとかもあるのかもしれない。そうだと良いな。

終盤の「僕がプレゼントだよ」発言については「あーはいはいありがとうございます通常営業やなあんたは、はいはいかわいいかわいい」と言って笑ってたけど、一晩あけたら今は「いやほんま、あんたがプレゼントやわ、もう受け取ってたわ既に、私は何を返したらええんや、返せるもんなんも持ってへん、生まれてきてくれてありがとう、まじで存在がプレゼントや」と大真顔でいる。7人とも、生まれてきてくれてありがとう、宝物やわ。

もし私がBTSだったら(ありえない話はやめてください)「ジョングクが居る」ということが「歌もダンスも何もかもやめてしまう理由」になり得るし、それと同時に「BTSであり続ける理由」にもなり得るだろうな。そして「僕は自分のことはつらくない、ヒョン達がつらそうなのを見ることだけがつらい」と言っていたグクが、今ステージに居るときいちばん安定しているように見えるけど、なんだ、すごいな、感動的だな。なんでこんなことが起こるんだろう、人間がやってることなのに…いや、人間がやってることだからなの?人間おもろすぎんか。

オンコン見ながら何か食べたり飲んだりできないと思う、余韻で寝られないかも、月曜休みにしとけばよかった、などと言っていたが、実際の私はバリエーション豊富な4種のキムチと牛肉をのっけたジャジャン麺、ヒラメのお刺身、チヂミ、蒸し豚、をジョングクもびっくりの勢いでもりもり食べ、ビールとマッコリをジミンちゃん並みにごびごび飲み、感情が高まったので自転車で走り回って程よく疲れ、何はともあれ今日もバンタンは最高!!!!と風呂に入り、日付が変わる前にぐっすりと寝た。
何より、私は私の仕事と生活とをやるぞ!!がんばるぞ!!!という気分になった。睡眠も栄養も足りているし、月曜からやる気に満ちている。
こんなに好影響なライブある?

Save me

2021年6月22日 (火) 20:12

音楽のはなし

前述の通り、BTSにハマっている。「ハマっている」が正しい表現かどうかは分かんないな、だって「ハマっている」って、言葉としてはわりと一時的なことっぽいけど、たぶん長い付き合いになるだろうな、と思っています。好きなアイドルが居る生活ってしあわせだ……末永くよろしくお願いします。

えー最近はずっと曲を、BTSの曲を聞いてて、今Spotifyで聞ける分は全部聞き終えたので、プレイリストを作ってきました。
チロルオンニ(ARMYの先輩)(ARMYはBTSファンの呼称)が「全曲履修し終えたらプレイリスト作ってね」と言ってくれたのがすごくうれしかったので、勝手に同じ部署の後輩みたいな顔をして作りました。えへへ。

誰にも頼まれていないけど以下、ライナーノーツです、というか単に好きポイントを言いたい。

01.Attack on BTS
アイドルに歌ってほしい曲の1つとして「キャラソンみてぇなやつ」というジャンルがあると思う。
本人たちが主演するアクションヒーロー物の映画があったとして、その主題歌か、オープニングテーマみたいな曲。スピッツで言うと「ミカンズのテーマ」みたいな曲のことです。
この曲がそれです。(解釈違いでぶん殴られるかもしれない)

02.IDOL
ただ突飛で奇抜なことをやっている、というわけではない一曲。民族音楽っぽい要素も入っててかっこいい。
ラップラインがかっこいい~すき~冒頭のナムさん~ライブの時ジミンが「You can’t stop me lovin’ myself」でオラついてる感じもすき~
韓国の文化とか言語とかに関して、私はもっと勉強すべきだな、という気持ちもあります。

03.Like
なんかもうこのままショートムービーが撮れる。主演どうしよう、シュガにやってほしいな。シュガが「なんで”いやだ”ボタンは無いの」って言うの想像したら超かわいい。

04.Embarrassed
不甲斐ない曲を2曲続けてかけたい、という欲が出てきたので4曲目はこれ。ベッドでもだもだしてる、という曲なんですが、韓国語だと「이불킥(=布団キック)」という曲名?らしい。何そのかわいいの……かわいいね…

05.DNA
Youtube、Spotify、VLiveを行き来してBTSの曲を聞き、BTSの動画を見て夜更かし、どうにか布団にもぐりこんだ後ジンくんのもぐもぐGIFを漁っていたら寝落ち、という生活を送る中で、並行して「BTSのマネージャーになってデビューさせる」という夢みたいなゲームをやってるんですが、その中で延々流れている曲、ことDNA。
もっとドヤドヤのイントロにしそうなところを、この音数の減らしっぷり…いいぞいいぞ!!!テヒョンさんの低音ボイス大好き芸人で特番やらせてほしい。

06.FAKE LOVE
この曲はジンくんがサビ(FAKE LOVE♪のとこ)で良い仕事していてラブい。
韓国語ってどっちかっつーと英語に近い譜割りになるんだな、と新鮮に感じる私はK-POP初めましての女。

07.Converse High
たまたま私がコンバースのハイカットを履いているときに聴いてしまって、きゅんとした曲。歌詞も「ナムジュンには内緒ね」とか「コンバース ローは履かないで」とか言っててすごくかわいい。ユンギの「脱ぐの大変でしょ?」も超良い、何、え?脱がせようとしてんの?何?
爽やかな曲調でフェティシズム(もしくはエロティシズム)を歌うの、アイドルにやってほしいことのひとつです、ありがとうございます。

08.Telepathy
この曲かわいいし踊れるし色んな音がして楽しい。
あとBTSの好きポイントのひとつとして「オクターブハモ」があります。「オクターブハモ+上ハモ」とか大好物。ジミンのおかげであるケースが多い気がする、ジミンありがとう。

09.Mikrokosmos
曲を聞いて歌詞だけ読んでるときは「なんか規模でかい曲だな」と思っていたのですが、この曲のライブ映像を見た時に「あぁこの人たちはそんなに突拍子もない距離感のところに行ってはないし、行く気もないのだな」と、何もかも分かったような気がした。
私みたいなもんはどうせ分かったような気がしただけで引き続き何も分からないのだが、それでも何もかも分かった顔をして誰かと肩を組み、絶対違うと分かっていても、確信めいた声でI got youと歌う夜は、要る。

10.Outro:Circle room cypher
デビュー当時はどうやら今よりもゴリゴリのヒップホップグループだったらしいBTSがサイファーやってる…!の一曲。他にも何曲かこういうやつがあったけど、最初期のこれをプレイリストに入れました。当時おそらく15~16歳のジョングクがこれをやってると思うとあまりのかわいさに母を通り越して祖母の顔になってしまいます。

以上10曲です、ダーッと入れたら13曲になって、そこから3曲外すのに3日かかりました。
さらに最新曲・Butterを入れたい気持ちがすごくあって、なぜならすごく好きな曲だから、でもプレイリストって好きな曲だけ入れるやつじゃないから(そういうプレイリストもあるけど)(そういうプレイリストにしてもよかったけど)、今回は入れるとこがなかった。でもButterすごい良くて、ド頭からSmooth Criminalって歌ってるし、BメロでMan in the mirrorをやって、嫌みとかひねくれとかなく、直球ど真ん中ホームランでポップミュージックをやってるところがすごく良い。ナムジュンが何かのインタビューで「この曲に意味なんか無いですよ笑」って言ってたのも最高に良かったな。そのバランス感覚よ…!テテに「Cool shade stunner Yeah I owe it all to my mother」と歌わせるメタ的なセンスも素敵。やぁ~!持ってけグラミー!

夕暮れと君が好きさ

2021年3月20日 (土) 23:58

音楽のはなし

世間がこんなことになって、いつのまにか1年が過ぎた。医者でも研究者でも看護師でもない私にできることは引き続き、マスクと消毒ぐらいしかない。これからどうなっていくんだろう。

去年の2月、心斎橋のジャニスで見て以来1年ぶりに見るアナログフィッシュは、特に何かが変わった、という様子はなかった。あ、見た目とかの話ですけど、みんな元気そうだった。よかった、ライブに来ているお客さんたちも、見覚えのあるいつもの顔ぶれがあった。みんな元気そうだった。よかった。
私もそうだけど、みんないつも見る場所が大体おんなじだから、自然と覚えている。あの人今日は居ないんだな、昨日来てたのかな。

磔磔に椅子が置いてあるのなんて初めて見た。バンドがステージに上がると、前の方のお客さんがパラパラ立ち上がって、州ちゃんが「そうだよ、好きなタイミングで立っていいんだよ、好きなときに座っていいし」というようなことを言った。ライブハウスで「好きなタイミングで立って、好きなときに座る」、というのは今まであまり無かったことだ。足が疲れたり、飲み物を飲んだり、ゆっくり聞きたいとき、座れるのはわりといいことなんだよな。世がどんな状況だとしても、悪いことばっかり、出来なくなったことばっかりに気を向けなくていいんだ。そんな当たり前のこと、知ってるのにすぐ忘れるな。

去年も新曲をライブで聞いた記憶があるけど、今年も新曲が聞けた。新曲がかっこいいことが、アナログフィッシュを好きでいて一番うれしいことだと思う。あの頃のアナログフィッシュも良かったが、一番良いのは今のアナログフィッシュだ。今のアナログフィッシュが一番かっこよくて、一番良い。
しかもふたりともの新曲がかっこいい。この人たちにとってお互いがつくるものは、どのぐらいお互いに影響を与えているんだろうか。健ちゃんの新曲はハモりが素敵で、かっこいい曲だった。あのハモりを考えているのは絶対に健ちゃんだと思うけど、どうやってふたりに伝えているのかが気になる。楽譜を書くんだろうか。これは悪口ではなくてむしろ畏怖を込めた褒め言葉だが、佐々木健太郎という人は楽譜を書くような人には全く見えない。

私は歌詞を詩のように扱ったりするのが好きではないし、詩として成立するねやったら音楽は出番ナシやないか、良い歌詞は常に良いメロディーと良いリズムと共にあれよ、歌詞への共感なんて求めてない、といつも思っているけど、下岡晃の新曲「Yakisoba」の歌詞には一言一句すべてに同意・共感している。メロディーもさみしくて優しくて好きだな。私が書いた曲ってことにならないだろうか。
このミニマルで私的な愛おしいこの曲を、今年レコーディングしてくれるかもしれない。「今年アルバムを出せたらいいなと思ってます」って言うてた。そうすれば私はポケットにこの曲を入れておいて、いつでも好きなときに聞けるんだよ、うれしい、楽しみだな。

終盤に演奏された「Sayonara 90’s」は、2008年のリリースだったらしい。そっかもう10年以上前なのか。
80年代後半に生まれた私の90’sは、ここで歌われているものとは単純に違うものだ。私がヴィレッジヴァンガードで買ってきたカート・コバーンのポスターを壁に貼ったとき、彼はもうとっくに亡くなっていたし、下岡晃が歌う「希望が無いってことに希望があった」時代は、感覚としては概ね理解しているつもりだけど、実感としては知らない。
兄の話を聞くようだった「Sayonara 90’s」は、私が今この時代、この状況、この年齢で聞くと、少し違った手触りになった。探せば結構、この胸の中に、希望はあるね、それは例えば愛だったりする。本当にそうだな。

「抱きしめて」やらんねんな、最後かな、と思っていたら、「抱きしめて」は最後の曲だった。この1年くらいの間、下岡晃はインスタ配信で数十回この曲を演奏している。
この日磔磔で、「抱きしめて」を歌い終え、ギターを置いた下岡晃はとても大事なことを、簡単な言葉だけで言ってくれた。「こういうふうな日々が続くと、どうしても極端な方に自分の心が動いてしまう、なんでかっていうと、中庸で、真ん中に居ることが、とても難しいことだからなんだと思うんだよ、でも俺たちは、極端な、簡単な話に流されずに、中庸で、頭をつかって、なんとか頑張って、隣の人を大切にして、明日もマスクと消毒を続けるしかないと思う」と、言ってくれた。

そうだ、中庸であることは、常に真ん中を取ることは、難しいことなんだった。いつもはそれができるし、それが私だと思っていて、だから今それが出来ないのは、私が弱くてダサい人間だからだ、と思っていた。そのことがつらかった。自分のことを弱くてダサい人間だとしか思えないなんて最悪だ。
でもそうだ、難しいことなんだった、中庸であることは、真ん中に居ることは、難しいことなんだった。だから、でも頑張ろうねって、言ってほしかったんだった。言われて初めてそのことに気づいたよ。ありがとう下岡晃、いつもありがとう。

下岡晃が何を言ったのか、この日のMCをもう一度ちゃんと聞きたくて配信のチケットを買った。忘れたくなくて、また思い出したいときにいつでも読めるように、文字起こししていたら、写経ってこういうことなんじゃないの、と思った。

おしゃべりが上手じゃないこの人が一生懸命なにか伝えようとしてくれることに、いつだって本当に感謝してるのに、いつまでも何も返せなくて申し訳ないな、と思う。ありがとうございますしか言うことがないのは私の方だ、ずっと大事なバンドを続けてくれてありがとうございます。そのことが当たりまえじゃないということばかり、実感する1年だった。これからどうなっていくかは引き続きぜんぜん分からんが、どうにかやっていこう。どうにか、やっていこうね。

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