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簀巻き

2024年1月11日 (木) 20:45

映画のはなし

アキ・カウリスマキ監督作品「枯れ葉」を観に元町映画館へ。家から20分くらいなので歩いていく。上映開始2~3分前に到着、入場するとほとんど満席でびっくりした。アキ・カウリスマキってこんなに人気監督なの?
ざっと見まわしたところ、比較的年配のお客さんが多い感じ。祖父ぐらいの歳の人と、母ぐらいの歳の人の間の席に座らせてもらい、鑑賞した。祖父ぐらいの歳の人には、座るなり「あんた、コートを脱いどきなさい、出たとき寒いよ」と言われ、ほんとうのおじいちゃんなのではないかと二度見した。私は祖父がふたりいたんですが、ふたりとも他界しています。言われるまま素直にコートを脱ぎ、上映開始。

去年「浮き雲」を観て、うわぁこの監督好きやなぁ~と思い、こんなにすぐ新作を観られるなんてツイてるな、と思う。アキ・カウリスマキ監督がそうなのか、それともスウェーデンの映画がそうなのかは分からないけど、画面の彩度がわりと低くてカメラがほとんど動かないのが気に入っている。彩度はともかくとして、私はカメラワークが忙しない映画より、画角が固定されていて人が出入りする映像が好みだし、ものすごく集中して観られる。ちなみに画角は固定されていればそれで良い、というわけではなくて、レイアウトが美しいほうが良い。そもそも私は、画角に何が収まっているかを観るために映画を観ている。……自分で撮ったことないのに贅沢を言ってすみません。

「私はおもろいねんけど、これは笑っていいんかな」と変な顔をしながら観るのも楽しくて好き。でもコメディ-ってわけでもないと思うし、とはいえ笑ってもいいんやと思う、多分。なんというか「おもしろかったら笑ってもいいよ」という気配が、映画の中に満ちている。
登場人物たちは仕事を転々としたり、スコンと落ちるように恋をしたり、ヘビーめのアル中だったりするのに、だから結構ドラマチックな毎日を生きているのに、誰もギャーギャー言わず、淡々と、ただ生活を送っているのも好き。正直これぐらいしゃべらずに生きていきたいし、「好き」とかどうとかゴチャゴチャ言わずに恋愛したい。

理不尽な経緯で突然仕事をクビになったふたりが、帰り際に何も言わず手を少しだけ触れさせて別れるシーンもすごくよかった。私は言葉をさほど信頼していないくせに、言葉以外にコミュニケーションを預けるほどのフィジカルが無いせいで、それを補うために過剰に言葉を積む悪癖があり、積めば積むほどさらに言葉を信頼できなくなる、という悪循環を生きているので、こういう友情や人間関係に、嫉妬に近いような憧れがある。

朝ごはんを食べる時間がなかったのでお腹がペッコペコで、映画のあとは映画館から徒歩50歩くらいの中華料理屋さんに駆け込んで、海老とたまごをごはんの上にのっけたのと、ワンタンスープがセットになったのを食べた。
メニュー表には950円と書いてあったので、お会計のときトレーに1000円札を置いたら「メニューの料金は税別なんよ」と言われた。「あぁすみません」と言って100円玉を追加で置いたら「でもまぁ1020円でいいわ、はいおつり、80円ね」と言われ、80円もらって帰った。なぜ1020円でいいのか、よく分からない。「でも」も「まぁ」も分からない。どういう意味なんやろ。5円玉が切れてるとしても、せめて1040円じゃない?いや別にいいけどさ。

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