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2023年1月26日 (木) 20:56

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ヨウリーが「行けたら午前中はリ・ウファンの回顧展に行く」と言うので、私も一緒に行くことにした。美術館に行くのは圧倒的に午前中が良いが、これはつまり「早起きしてきちんと用意して出かけないといけない」ということなので、自分ひとりだけで達成するのは地味に難しい。「いっか別に今日はもう…」と思いがちだからだ。

私は仕事に行くのと同じ時間にかけた目覚ましできちんと起きて、洗濯をしてから自転車で出かけた。海を右側に見ながら自転車で走っていると、遠足か何かで列になって歩いている小学生の列に遭遇した。信号待ちの間、男の子がひとり「おはようございまーす」と私に向かって言うので「おはようございます」と返事をしたら、列の後ろの子たちが次々に「おはようございます!」と続け、結果数十人の小学生たちに延々挨拶をすることになってしまって大変だった。ふざけているのかと思ったが、誰ひとり笑っていなかったし、少し会釈をする丁寧な子もいて動揺した。大の大人が挨拶されたぐらいで動揺しているのも変な話だ。
海側に下りすぎるルートにしてしまい通常より時間がかかったが、約束の力は偉大なもので、私もヨウリーも開館とほぼ同時に入場することが出来た。

リ・ウファン展はすごく良かった。作品のサイズは大きくなればなるほどどこかに隙が生まれ、緊迫感は薄まるものだと思うのだが、リ・ウファンの作品は全く逆で、場や観客も飲み込むほどの大きなうねりがあり、その場に居られることそのものが幸福だった。グルーヴがある、としか言いようがないので感想を言うのが難しいが、とにかく居心地が良かった。何をどのように鑑賞しても「関係」について考えることになるので感覚的に気分が落ち着く場所を探したり、視覚的に収まりの良い場所へ自分で自分を動かそうとする気持ちになったりするのも楽しかった。

写真を撮っても良いことになっていたので展示室を歩くヨウリーと作品とを一緒に写真に収め、キム・ナムジュン(※BTSのRMさんのこと、彼は美術に大変造詣が深く、しょっちゅう美術館に行き、同行者が撮影したらしい彼自身の写真をインスタで見せてくれる)気分を味わい、さらに無料で提供されていた音声ガイドも一緒に楽しんだ。
私は写真を撮っていいことになっている展示会が心底嫌いだが、この日は音声ガイドを聞くためにイヤフォンをしていたので他人のシャッター音があまり気にならなかったし、ヨウリーと一緒だったこともあって楽しめた。今後写真を撮っていいことになっている展示会に行くときはイヤフォンで何か音楽を聴くとかしてしのごうと思う。……でもシーンとした中に靴音と息遣いだけがあるような空間で観たい作品もあるよ、結局どうすればいいの。うわーん。

近年のキャンバスに描かれた作品は、キャンバスの側面に「L.UFan ’22 ↑」とサインがあってかわいかった。この「↑」はおそらく「こっちが上です」の意だ。
上下を逆にかけられて75年間そのままだった、モンドリアンの作品のことを思い出す。モネも逆さまに展示されてた作品があった気がする。

午後は姉(友人)も合流し、ヨウリーと3人でひょうたんへ行き、餃子とビールで乾杯した。姉と顔を合わせるのは去年の夏以来だ。元気そうでよかった。2年前の夏まではお互いに知り合っていなかったし、知り合った直後はしばらく距離感の詰め方が分からずに、私は敬語とタメ口の間をフワフワしているLINEを送っていたというのに、もう家に遊びに来てくれるような距離感になっている。なんかすごいな。人と仲良くなるのが上手な人なんだろうと思う。

地元に友だちが来てくれるのは楽しい。私は神戸で生まれて育ったが、一度出て、戻ってからのほうがより土地への愛着が湧いた気がする。遊びに来てくれた人が気に入ってくれると嬉しいし、おいしいものを食べて良い体験をして良い思いをしてほしいし、良さが分かってもらえるように一生懸命プレゼンしたいような気持ちになる。

餃子を食べたあとは3人でケーキを買って家に帰り、お茶を入れ、推しの写真集を眺めて過ごし、夕方からは姉に絞りだしクッキーを習った。クッキーは、というかすべての焼菓子は、温度にきちんと気を配る必要があることを改めて学んだし、同じレシピを繰り返し作ってオーブンの癖を把握し、自分の手で感覚を覚えるしかないのだな、と思った。なにごとにも楽勝裏ワザみたいなものは無いのだ、当たり前のことだけど。
とはいえ「絞り袋を使う時は口金に袋部分を詰めておくと生地を入れた先からこぼれ出ない」という裏ワザを教えてもらって嬉しかった。シュークリーム作るとき、これなんとかならんのかい!と思ってたから……案外単純な事ではあるけど、でもどの本にも載ってなかったよ。

私の手が温かすぎて全ての料理が向いていない話をしたら、姉は「パンは良いんじゃない?パンは手が温かい人のほうが向いてるよ」と言っていた。そうなのか……パンやってみるか……
が、バターを折り込んでいく工程があるクロワッサンやデニッシュ系のパンは向いていないと思う。確信がある。

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