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高慢と偏見と傲慢と善良とテルマとルイーズとボニーとクライド

2024年5月17日 (金) 22:58

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マーライオンのジャケット・アートワーク展示「ごきげん展」@渋谷HMVに向けて、せっせと売るものを作っている。在庫が何もない状態から始めているので、毎週末制作でかかりっきり、平日夜も稼働、みたいな状況。

シルクスクリーンは去年ほとんどやらなかったので、だいぶ久しぶりではあるけど、下手になっている・手順を忘れている、みたいなことはなくて、一安心しています。シルクスクリーンは「刷る」という行為自体は本当に数秒で、素材を揃えて版下を作って製版して刷り台をセッティングして、という前段階の準備が圧倒的に多く、手間がかかる。段取りだけが重要であり、「刷る」行為そのものは、最後の仕上げ程度でしかない。
私は仕事でも「“根回し”と“段取り”ばっかりやってるなぁ~」と思うけど、休みの日もこうやって、“根回し”と“段取り”ばっかりやっている。もしかしたら人生って“根回し”と“段取り”だけやって終わるやつ?みんなの人生はどうですか。
とは言え、“根回し”と“段取り”が上手く出来れば、かなりの範囲に応用が利くなぁと思う。料理とかも“根回し”と“段取り”でしかないやん。特技を書く欄があったら「根回しと段取り」って書きたいな。どこにそんな欄が。

最近はシルクスクリーンで作るもののサイズが大きいので、紙で原寸の見本を作るために「切り貼り(きりばり)」をやっている。家のプリンタだとA4サイズまでしか印刷が出来ないから、例えば50cm角の原寸見本を作ろうと思ったら、これを4枚とか6枚とかに分割して印刷し、貼り合わせる必要がある。
「切り貼り(きりばり)」は専門学生時代の必須テクニックだった。当時も家にはA4プリンタしかなかった。それだってバイト代でどうにか買ったもので、インク代や紙代で維持費もかかるし、ちょっと背伸びした買い物だったと思う。A3プリンタは学校で使えたけど、各教室に1台しかない。1年生のときは家にプリンタがない子が私以外にも何人かいて、課題の提出前や提出当日はプリンタの取り合いになる。A3プリンタを確実に使うためにめちゃくちゃ早起きして(もしくは徹夜明けで)学校に行き、プレゼンボードを作るために必要なものを出力したりしていた。管理人さんが鍵を開けてくれる前に友人に会うと「おはよう、出力?」「うん、何枚?」「3かな」「俺5だわ、先やっていいよ」と言い合ったり、出力してるあいだに2~3人増えたり、授業が始まるまで時間が空いたら公園で朝ごはんを食べたりして、あれ楽しかったな。
「切り貼り(きりばり)」が出来るようになってからは、大体のものがA4プリンタでまかなえるようになった。手順としては重ねて→貼って→切って→裏から貼る、でごく単純だが、継ぎ目が見えるとダサいし、ズレてるなんてもってのほかで、案外難しい。特に背景色が黒っぽいデザインの場合は継ぎ目に紙の色が出やすいので、いかにも切り貼りしました感が出てしまって難しい。
あんまりうまく出来ないまま提出すると、先生に「デザインは良いけど手が汚い」とか言われたりすることもあって、くやしかった。この場合の「手が汚い」っていうのは、汚れてるから石鹸で洗いなさいとか手荒れしてるとかいう意味じゃなくて、仕上げが美しくない・デザインとは別の部分で手を抜いている、みたいな意味なんですけど、業界用語なのかもしれん。多分。知らんけど。
最初は「デザインが良いならそれで良いやんけ」と思っていたけど、だんだん意味が分かってきて、「手がきれいなことのほうが、デザインが良いことや作品が良いことよりも重要な局面、結構あるぞ」と思うようになった。今もそう思う。

次回はいつも行ってる大阪の作業場じゃなくて、家から近いほうの作業場に行ってみることにした。機材が変わるけど、たぶん学生のときに使ってたのと同じっぽいので、やれるはず。こっちのアトリエの方が分割せずに大きいのが刷れるし、楽しみです。最終的にはmarimekkoぐらい大きいやつ刷ってテーブルクロスとか作りたい。自分の絵を拡大するのって、なんか分からんけどめっちゃおもしろくて楽しい。大きいのを描くんじゃなくて、小さく描いたのを拡大するっていうのがおもしろい。何がどうおもしろいのかは自分でも謎で、まだ言語化できてない。カミングスーン!

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