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態度でなんとなくわかるよ
2022年4月22日 (金) 22:31
「書を捨てよ、町へ出よう」と言ったのは寺山修司だったが、そういえば読んだことがない。あの本にはどんなことが書いてあるんだろう。私は書も捨てないし町へも出るし、何なら書を持ったまま町へ出るが、もしかしたらあの本は、そもそもがそういう話じゃないのかもしれない。
特に買うものがないのに入った本屋さんで文庫本の棚をうろついていたら「ティファニーで朝食を」が置いてあった。「訳は春樹かぁ」と思ったが、その瞬間「カポーティ」と目に入り愕然とした。私の目はまんまるになっていたと思う。
……カポーティ?え、カポーティって?あのカポーティ?あの、っていうかカポーティはひとりでしょう、カポーティと言えばトルーマン・カポーティやん、え、待って待って「ティファニーで朝食を」ってカポーティなの?あれカポーティが書いたの?「ティファニーで朝食を」をカポーティが?うそでしょ。うそだよ。おいおいまじか。
手に取って見ても、表紙に、扉に、奥付にも、全部書いてある、トルーマン・カポーティ。えええ、「ティファニーで朝食を」ってカポーティなの……知らんかった……えええ……
じゃあ誰が作者だと思っていたのか聞かれたらそれには答えられないが、カポーティだけは信じられない。じゃあ誰が作者なら納得なのかと聞かれたらそれにも答えられないが、カポーティだけは納得いかない。まぁ私が信じようが信じまいが納得いこうがいこまいが事実は事実で「ティファニーで朝食を」を書いたのはカポーティなのだが。こんなふうに思うのは「冷血」しか読んでいないせいかもしれない。
待て「ティファニーで朝食を」ってどんな話だっけ。映画は見たことあるはず、と思ったが、ストーリーは浮かばないし、浮かぶ画は全部スチール写真だ。これはあやしい。酔っぱらって観たか、半分寝ながら観たかのどちらかだろう。
ポッドキャストを聞いていたら、堀井美香さんが「老人と海」の話をしていた。「老人と海」ね、それは分かるよ、ヘミングウェイでしょ、アーネスト・ヘミングウェイ。昔好きだった男がよく詩集をポケットに入れていたから、ヘミングウェイなら私も読んだことがある。
いや待て「老人と海」ってどんな話だっけ。読んだことあるはずだよ、えーっと、そんなに長くなくてさ。ほら、老人と、海の話だよ、と思ったが、これはあやしい。ほんとに読んだんだろうか。「老人と海のはなしだよ」って、そんなひどい紹介があるか。何も言ってないのとおんなじだ。
観たはずなのに、読んだはずなのに、内容を覚えていないのはもったいないことだと思う。なぜ忘れてしまうんだろう、とも思うが、脳が勝手にやっているから抗いようがない。きっとその時は何か、感じたり、感じたことを言葉にしたりもしたのだろう。でもそれも覚えていない。
ま、いつか機会があれば「老人と海」を読めばいいよね、と思うが、今でないならいつがその機会なんだ。うーん、でも今は「老人と海」を読むより「ブレイキング・バッド」を観たいしデーモン・アルバーンのアルバムが聴きたい。
デーモン・アルバーン去年アルバム出てたの、まったく知らんかったけど、なんで誰も教えてくれんかったん。
でも私も自分がデーモン・アルバーンが好きだということを忘れ去っていた。すまん。
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