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2020年8月27日 (木) 22:34

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いわゆる「勉強」ができないことへのコンプレックスが微塵もない。というか今まであまり考えたことがなかったけど、世の中には「勉強ができないことは恥ずかしいこと」と考えている人が少なからず居るようだ。
最近立て続けに「あなたが思う以上に私は勉強ができないので、幻滅されると思う」とか「高校に入るとテストが難しくて、落ちこぼれになってしまった」とかって話を聞く機会があったので、価値観の違いにクラクラした。

ここで言う勉強は、学校でやる、最後にテストをやって点数をつける、というタイプのやつですけど、私はこれがまじで全然できない。ずっとできなかったし今もできない。いつごろからできなくなったかも覚えてないぐらいできない。
小学2~3年生あたりの記憶に、父が宿題を見てくれていて、たぶん算数の、私はあまりにもわからないし何がわからないのかもわからなくて、まじでこんなんどうでもいいから早く終わらせて本を読みたいと思ってイライラし、なんなら「お父さんが分かるなら答えだけ教えてくれたらええのに」ぐらいのことは思っていて、最終的に父に「わかるようになりたいんか諦めるんかどっちかにせぇ!」と怒鳴られた、というのがある。私はその時、父になんと答えたのかは覚えていないが、結果から見るに「諦めた」のだと思う。

授業中にノートを取るのは得意だったし楽しかったので、勉強している雰囲気だけは出ていたと思う。今思うと、私はここでもレイアウトに興味があっただけだ。タイトルと日付の配置を決めて、小見出しの扱いをそろえ、表は右端に、図説のときはキャプションを入れて、というのをノートとペンでやっていただけで、内容は全然頭に入っていなかった。

とはいえ私はどうにか義務教育を終え、そのあとは運よく希望する公立高校に入れたし、高校を出たあとは願書を出してお金を払えば入れる専門学校に行ったので、学力を問われるようなことは無いままだった。(とはいえ専門学校の学費は高かったし、ノートパソコンやらアドビソフトやらに加えて、本来は要らなかった一人暮らしのための家賃・生活費も出してもらって、両親には申し訳なかった)
学校なんて卒業してしまえば「○○年卒業」で全員一括りにされ、当時のテストの点数なんて誰にも聞かれないし、履歴書には書く欄すらない。私にとって「勉強」とはそういうもので、少なくとも、できないからといって卑下するようなものではなかった。

でも前述のような価値観もあるのだ。勉強ができないことは幻滅されるようなことで、テストで良い点を取れないのは落ちこぼれである、という価値観。
そりゃできないよりはできたほうが圧倒的にいいだろうし、できるようになりたいと思って努力することは大変素晴らしいことと思うし、勉強がおもしろいと思う側面もあるので一概には言えないかもしれんけど、できないことはそんなに悪いことだろうか。
そもそも「努力すればできるようになる」というのも、私は正直しっくりこないんだよな。本当に、努力すればできるようになるの?なんでも?できないのは本人の努力が足らないせいなの?ほんとうに?
私は努力してできるようになったことなんて一つもない気がする。もともと好きだったもの、日本一にはなれないにしても比較的得意だったことを仕事にし、さして苦と思わずに生きている。これを続けていくための努力はしたいと思っているけど、「苦手で、苦痛だと思いながらする努力」とは質が全く違う。何か別の言葉はないですか。

つっても単に私がめちゃくちゃ恵まれている、という部分が大きいのだろうな。
両親は私のテストの点数なんて全く気にしなかったし、勉強をしろともするなとも、なんにも言われなかった。勉強に限らずなにごとも「必要と感じるのならやればいいし、自分で考えて決めなさい」というスタンスだったし、私もそう思っていた。
高校でも、友人たちは私の20点や15点のテストを見てもバカにしたり、蔑んだりすることはなかった、一緒に笑ってはくれたが。クラスの全員が「勉強なんかするような人」と「勉強すらしないような人」に二分されるだけで、「それだけのこと」だった。そこに上下はなかった。当然点数によって順位が出ているので「上下がない」わけないだろうと思うけど、でも少なくとも私が感じる空気として、そこに上下はなかったんだよ、もしかしたらあれものすごく稀有な空間だったのかもしれん。

歳を取れば取るほど、いかに自分が恵まれ、愛され、尊重されているかを実感するね。何を、どのように、誰に返せばいいのだろう、間に合うのかな。「間に合った!」と思って死ねるだろうか。そんなのは傲慢ですか。

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